羽田盃は、南関東3歳クラシック第一弾。しかしその存在感は、単に南関東という一地域にとどまるものではない。2歳馬の層の厚さとレベルが全国一高いと言われる北海道・門別や、
JRAからもダートの適性を見出された馬たちが、一様に目標とするのがこの
羽田盃なのだ。
羽田盃を前に好素質かつ力量豊富な馬たち南関東に移り、南関東でデビューし力を培ってきた馬たちと激突する。つまり、この
羽田盃から
東京ダービー、そして交流重賞の
ジャパンダートダービーへと続く道のりは、正真正銘日本のダート競馬における「王道」と言えるのだ。
今年の
羽田盃は、南関東デビュー馬が盛り上げるはずだった。しかし、年末に
全日本2歳優駿を勝った
ヴァケーションや、新年の
ニューイヤーカップを圧勝した
グリーンロードが、相次いで前哨戦で敗退。
羽田盃を巡る戦況は、俄に混迷の度を深めた。
雲取賞では
ゴールドホイヤー、
京浜盃では
ブラヴールと、南関東デビューの新興勢力が生まれ、そこに、
JRAからまさに南関東クラシックを狙ってやってきた
コバルトウィングが加わり、北海道でのデビュー時から活躍を続ける
ティーズダンクを含めると、すでに有力馬は五指に余る。
大穴を狙いたい方にお勧めしたいのが、
ファンシーアップ。当初から好素質を期待され、デビュー地門別で新馬を勝ってすぐ南関東に転入。まだ残る幼さから出世が遅れたが、心と身体が噛み合ったときの走りの壮大なスケール感は、他の馬にはない魅力だ。
これまでの馬たちの走りから、能力と勝負の趨勢を見極める「眼力」が私たちファンにも大いに求められる興味深い一戦となった、今年の
羽田盃。残念ながら私たち競馬ファンは自宅からの観戦となるが、競馬場に集えば皆そうであったように、心をひとつに、そして「騒がしく」盛り上がって観戦しよう。
(文=
ブロードキャスター・坂田博昭)