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【さきたま杯回顧】好位の内をうまく立ち回ったノボバカラ(斎藤修)

  • 2020年05月28日(木) 18時00分
 逃げ馬が何頭かいる組み合わせで先行争いが注目されたが、ノブワイルドには幸運なことにすんなりと単騎逃げが叶った。ゴールドクイーンはスタートで大きく躓いて出遅れ。浦和コースの大外枠で逃げ馬がこの出遅れでは万事休す。ノブワイルドよりも内の2番枠に入ったジャスティンは、出遅れというほどではなかったもののタイミングが合わなかった感じ。そもそもノブワイルドを先に行かせるつもりだったのか、すぐに控えた。すると外から一気に4頭ほどに前に入られてしまい、砂をかぶるのを嫌がったのか、1コーナーまでに何度も頭を上げて7番手まで位置取りを下げてしまった。

 それにしてもノブワイルドが刻むラップはすばらしい。向正面入口、最初の600mまできっちり11秒台のラップを3つ並べて35秒2。重賞ではまだ通用しなかった2018年のプラチナCまではペースも安定しなかったが、重賞初制覇となった2018年秋のオーバルスプリント以降、浦和1400mでは、ダートグレードであるか地方重賞であるかにかかわらず、ほとんど同じように最初の600mで11秒台のラップを並べていて、あらためてそのオーバルスプリントで本格化したことがわかる。

 ちなみに昨年のJBCスプリントでは逃げて5着に沈んだが、そのときは1コーナーを回るあたりまで外から2頭に競りかけられたことで2F目に10秒5というラップがあり、600m通過が34秒1。明らかにオーバーペースだったことがわかる。

 今回は、冒頭のとおり競りかけてくる馬がなくマイペースの逃げに持ち込み、3コーナーから後続を引き離しにかかった。前走の休み明け初戦が案外だったため人気を落としていたが(6番人気)、直線を向いたところで、「これは逃げ切られた」と思って見ていた人も多かったのではないか。

 逃げ馬の宿命だが、ノブワイルドがマイペースに持ち込んで逃げ切れるかどうかは、好位から中団に控えた馬の中に、浦和の短い直線でも差し切れる脚を使える馬がいるかどうか。今回は、その能力を持った馬が2頭いた。

 差し切ったのはノボバカラ。向正面4番手から、3コーナー過ぎで2番手。直線を向いたところでノブワイルドとは3馬身ほどの差があったが、そこからゴール前で差し切った。

 ノボバカラは4年前のかきつばた記念が重賞初制覇で、その年にダート重賞を3勝。しかしその後は勝ち星から遠ざかり、昨年5月の栗東Sが唯一の勝利。しかしながら地方のコーナーを4つ回る1400m戦では、ここまで6戦してすべて4着以内と安定した能力を発揮していた。

 ひとつ勝因となったのは、内枠のジャスティンが控えたことで、スタートしてすぐに好位のラチ沿いがキープできたこと。小回りでも内外の砂厚がほとんど変わらない浦和コースでは、逃げ・先行馬にとってラチ沿いはヴィクトリーロード。それを初騎乗の森泰斗騎手が最大限に生かした。

 ノボバカラにとって浦和1400mは今回が3度目で、昨年のオーバルスプリントが4着で走破タイム1分26秒0(稍重)、JBCスプリントも4着で同1分25秒7(重)、そして今回の勝ちタイムが1分25秒8(良)だから、きっちり自分の時計で走っての勝利だった。

 ブルドッグボスは、ノボバカラのうしろから追いかける形で1馬身差の2着。JpnI勝ちがあるゆえ、別定重賞で1頭だけ他の牡馬より2kg重い58kgを背負って能力の高さは見せた。

 その1馬身うしろがノブワイルドブルドッグボスは昨年末のゴールドCでも、最初の600mが35秒9という楽なペースの逃げに持ち込んだノブワイルドをハナ差とらえていたように、たとえノブワイルドがマイペースで逃げても、それを差し切るだけの能力差をあらためて示した。

 ノブワイルドはマイペースの逃げに持ち込んだとはいえ、1〜2コーナーでは口を割ってなんとか折り合いをつけたような場面があり、さらに残り100mでばったり止まったところを見ると、やはりベストの状態にはなかったのかもしれない。

 ブルベアイリーデは、3コーナーでもまだ7番手という位置からメンバー中最速の37秒2で上がって4着。この馬にとってはもう少し前がやりあってほしかった。

 1番人気に支持されたジャスティンは冒頭のとおりスタート直後に位置取りを下げてしまったが、3コーナーからブルドッグボスと一緒に位置取りを上げて行った勢いは、おっ!と思わせるところがあった。直線で伸びを欠いたのは、やはり前半にロスがあったぶん。ダートでは初めてのコーナー4つの小回りコースで、何もかもがうまくいった東京スプリントのようなスムーズな競馬にはならなかった。

 それにしても新興勢力の4歳馬2頭を4、5着にしりぞけ、上位3着までを占めた8歳馬が元気だ。

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