日本ダービーが「内枠有利」というのは多くのファンに知れ渡っている事実ですが、実際に過去10年で1枠1番が半数にあたる5連対もしています。2010年の
エイシンフラッシュを筆頭に、2013年の
キズナ、昨年の
ロジャーバローズが優勝。2011年
ウインバリアシオン、そして2015年の
サトノラーゼンが2着しています。
これは
日本ダービーの週からCコースに替わることと、超絶高速馬場が影響しています。時計の速い決着、極端に上がりの速い決着になれば、コーナーロスが致命的となるからです。
さらに過去10年の連対脚質は、先行〜中団が15頭。2018年は逃げた
エポカドーロが2着に粘っていることからも、前々でロスなく立ち回れる馬が有利といえます。その一方で、追い込みが3勝、2着1回と活躍しているのも事実。
該当馬は2011年にワンツーを決めた
オルフェーヴル、
ウインバリアシオンをはじめ、2013年の
キズナ、2017年の
レイデオロです。
レイデオロは超絶高速馬場にして前半5F63秒2という、ダービー史上No.1クラスの超絶スローペースを利して、向正面で2番手までポジションを押し上げたもの。マクリという表現のほうが一般的かもしれません。
しかし、
オルフェーヴルが優勝した2011年はズブズブの不良馬場となったことで、前が崩れたもの。
キズナが優勝した2013年は、
アポロソニックがスローペースの単騎逃げを打ったものの、
メイケイペガスターが向正面でマクってペースを引き上げ、追い込み馬にもチャンスがある流れになったもの。つまり、超絶高速馬場で行われる以上、自身がマクるか、何かがマクって前が早仕掛けをせざるを得ない展開にならないと厳しいものがあるということです。
今年は、タフな馬場で行われた
皐月賞をハイペースで引っ張った
キメラヴェリテが出走せず、逃げ馬不在。
皐月賞で1枠1番だった
コントレイルはスタート後に馬が進んで行かず、後方に位置取るしかありませんでした。
しかも、外から来られて馬場の内に押し込められ、3コーナー手前まで外に出せず、他馬よりも馬場の悪い内を走ってはいるとはいえ、
キメラヴェリテが前を潰してくれた恩恵を受けたといってもいいでしょう。実際、
キメラヴェリテのオーバーペースに巻き込まれて大失速した
ビターエンダーや
ディープボンドは、次走の
プリンシパルSで1着、
京都新聞杯で1着と巻き返しています。
コントレイルは福永騎手が
皐月賞後に「思っていたレースと違い、馬場の内目が悪いのもあったのか、(馬が)前に進んで行こうとしませんでした」とコメントしていることから、今回では前目、早目の競馬をしてくる可能性が高いです。しかし、前走で行きっぷりが悪かった馬が、今回で一変することは滅多になく、中団あたりにつけられれば上々でしょう。
場合によっては
皐月賞と同じように後方からの競馬になる可能性もあります。そうなると、
レイデオロのように道中で自ら動くレースをする必要性がありますが、恐らく前に
サリオスがいるので、簡単にはマクれないでしょう。
仮に
コントレイルが上手く先行した場合、同じく先行した
ホープフルSのときのように、パフォーマンスを下降させる可能性もあります。
ホープフルSは決してペースが速くはありませんでしたが、同馬はラスト1Fで失速し、
ヴェルトライゼンデにコンマ2秒差まで迫られました。今回、距離延長に不安を残します。
つまり、後方で脚をタメての末脚勝負ならともかく、先行やマクリなどの正攻法の競馬をした場合には、
コントレイル本来の決め手が使えない可能性もあります。キャリアを積めば体力がついて、距離の守備範囲は広がりますが、本質的には芝2400mが長いことは間違いなさそうです。
一方、
サリオスは
朝日杯FSも
皐月賞もハイペースを先行してしぶとい、とても強い内容でした。同馬は
皐月賞で一気に指数を上昇させてきたあたり、マイルよりも芝2400mでこそでしょう。そういう意味では、超絶高速馬場で時計の速い決着、極端に上がりの速い決着となりやすい
日本ダービーは同馬に
フィットしているように感じます。
あえて気になる点があるとすれば、消耗戦となった
皐月賞で好走していること。同じように消耗戦となった
桜花賞で、先行策から粘って2着と一番強いレースをした
レシステンシアが、相手が弱化した次走の
NHKマイルCでも敗れたように、ダメージが残って上昇しきれない可能性もあります。また、逃げ馬不在だからといって積極的なレースをすると、最後に伸びない可能性も捨てきれません。
先週の
オークスでキャリア3戦の
デアリングタクトが優勝したように、キャリアが浅いことは上昇力という意味での優位性はありますが、そういった馬でも条件が合わなければ、凡走することもあります。
確かに今回のメンバーでは
コントレイルと
サリオスが一枚上の存在。
皐月賞では展開にも恵まれ、馬場の良いところを走った3着馬
ガロアクリークに3馬身半差もつけていますから、両馬は、多少パフォーマンスを下げたとしても、上位には来る確率は高いのかもしれません。
が、2強が馬券圏内に食い込んだとしても、横一線のもうひと枠は他の馬に残されていますし、競馬には「2強対決は両雄並び立たず」という格言があるように、2強対決といわれながら、どちらか1頭が崩れることが多いのが競馬です。1頭でも馬券圏外に敗れれば、一気に高配当が期待できるでしょう。
今回は逃げ馬不在。例年にまして前が有利な展開が予想されるだけに、前目から2着、3着に粘れる馬を本命にする予定です。結論は
ウマい馬券で公開いたします。
(文=山崎エリカ)
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