不良の芝コースに18頭が飛び出した。
大外18番枠から出た
木幡育也の
トーラスジェミニがハナに立った。ハナを取り切ってから内に切れ込み、2番手の
アトミックフォースに2馬身ほどの差をつけ、単騎で快調に飛ばす。
アトミックフォースから少し遅れた内に、
内田博幸の
ダイワキャグニーがつけた。
「ハナにはこだわっていませんでした。ポケットに入らないように気をつけて、自分の位置を確保しました」と内田。
向正面を進みながら、内田は
ダイワキャグニーを軽く促して
アトミックフォースの前に出て、単独で2番手を走る形に持ち込んだ。2、3番手が入れ替わり、
ダイワキャグニーが2番手、1馬身ほど後ろの
アトミックフォースが3番手になった。
ダイワキャグニーは抜群の手応えで3、4コーナーを回り、直線へ。
先頭は内の
トーラスジェミニ。ラスト400mを切っても後続に抜かせない。
内田の左ステッキを受けた
ダイワキャグニーが、ラスト200m地点で外から
トーラスジェミニに並びかけた。
「重でも結果を出している(昨年の
ジャパンカップで6着)ので、外に出しすぎるのもよくないと思って追いました」と内田。
ラスト100m付近で
ダイワキャグニーが完全に抜け出した。
内埒沿いでは
トーラスジェミニが踏ん張り、その外から
ソーグリッタリング、
アトミックフォースらが伸びてくる。
熾烈な2番手争いを尻目に、
ダイワキャグニーは最後まで伸びつづけ、2着に1馬身半差をつけ、先頭でフィニッシュ。それまで全7勝を挙げてきた東京芝コースで、嬉しい重賞初制覇を果たした。
序盤で外に馬を置いた形から早々に抜け出し、気分よく走らせたことが最後の爆発力につながったのだろう。内田の好判断だった。
最低人気の
トーラスジェミニが3着に残り、3連単は421万9320円の大穴となった。木幡の迷いのない騎乗も素晴らしかった。
(文:島田明宏)