いよいよ今週末の日曜、阪神競馬場で行われる宝塚記念。今年は新型コロナウイルスの影響で、これまで同様、残念ながら無観客で行われることになったが、昨年の皐月賞馬サートゥルナーリアを筆頭に、大阪杯を制したラッキーライラックと同2着のクロノジェネシス、昨年の香港ヴァーズで念願のタイトルを獲得したグローリーヴェイズなど、8頭のGI馬がエントリーしてきた。

　例年以上に豪華メンバーが集結し、馬券的には難易度を増した一戦を現場の記者たちはどのように見ているのか？　福島民報・高橋利明、東京スポーツ・山河浩、スポーツ報知・坂本達洋という3人の記者に、今年のサマーグランプリの行方を占ってもらった。

　今年の宝塚記念を語るうえで、まず振り返っておきたいのが今年の古馬路線。口火を切ったのは高橋記者だ。

「牝馬の層は厚い。今回は2頭だけだが、ともに強力だ。4歳勢のサートゥルナーリアが、古馬になってどこまで充実しているかが最大の焦点だろう。ワグネリアン、ブラストワンピース、グローリーヴェイズら5歳勢は層が厚いが、抜けた馬はいない。GIを複数勝っているのはサートゥルナーリアとラッキーライラックだけで、レベルは特別高いとは感じない。混戦だろう」

　逆にレベルが高く、4歳勢を“粒ぞろい”と評するのが坂本記者。

「世代に関してはドゥラメンテ、キタサンブラックの世代が最近では抜けていたと思いますが、今のサートゥルナーリア、クロノジェネシスを筆頭にした4歳世代もなかなかでしょう。ダノンキングリーなどは、古馬となっても存在感を示していますからね。現5歳世代はアーモンドアイに目が行きがちですが、それこそブラストワンピースやグローリーヴェイズもいますから、現4、5歳世代のレベルは評価できますし、今回の宝塚記念でも中心と考えていいでしょう」

　一方、世代別ではなく、レーティングを勘案した距離別でレベルを評してくれたのは山河記者だ。

「牝馬ワンツーとなった大阪杯のレースレーティング（暫定値）は118.50。これは昨年、一昨年を上回るもの。全盛期のキタサンブラックには及ばなくとも、昨年（アルアイン→キセキ）以上のレベルならば宝塚でも通用する計算が成り立つ。一方、天皇賞は過去3年より低い115.75。フィエールマンの数字も119から118へと下がった。つまり中距離のレベルは高いが、長距離は低いというのが実情」

　そして例年、必ずといってもいいほど取り上げられるのが馬場状態。とくに梅雨時期に行われるこの宝塚記念で、重馬場の巧拙は馬券に直結する大きな問題。渋った馬場への対応力の見極めが、的中へのカギを握るといっても過言ではない。

　東京スポーツの山河記者は自身の経験をもとに、いきなり“隠し玉”を教えてくれた。

「京都で行われた06年、“打倒ディープインパクト”の大役をハットトリックに託した。その根拠は『良の切れ味勝負なら負けない』というものだったが、結果は7着完敗。当日の馬場は稍重でレース上がり35秒8、重巧者のナリタセンチュリー(10番人気)が2着に激走した。今年のナリタになり得る伏兵がトーセンスーリヤ。18年夏に、四位騎手に取材した際にも素質を高く評価していた。北海道の洋芝実績からも持久力比べに不安はない。道悪不安はグローリーヴェイズ。きさらぎ賞以降は直線平坦コースの良しか走っていない。阪神で馬場悪化の際は底力を問われる」

「今年のメンバーで道悪がプラスに働きそうな馬は、泥んこ馬場の菊花賞を制したキセが真っ先に頭に浮かびますが、私のイチ押しはクロノジェネシス。重馬場の京都記念で勝つなど実績を残しているのはもちろん、欧州血統である父バゴから受け継いだ力を要する馬場適性は高いとみていいでしょう。ほかにも道悪で結果を残している差し馬はいますが、やっぱり前で粘るのがセオリーですから、先行してスピードの持続力で押し切るクロノジェネシスは、そういった意味でも推せます」
　
　と、血統と展開面からイチオシ馬を話してくれたのはスポーツ報知の坂本記者。逆にマイナスになりそうな馬は、これまで良馬場でしかレース経験のないサートゥルナーリアと指摘する。

　さらに、福島民報の高橋記者は主な出走馬の重馬場の巧拙について、次のように答えてくれた。

「今年の阪神の芝はもともとが高速馬場ではない。加えて、雨の週もあり力のいる馬場だ。サートゥルナーリアは、アーモンドアイやフィエールマンと同じ切れ味タイプだけに馬場が渋ったらマイナスだろう。牝馬2頭はクロノジェネシスはプラス、ラッキーライラックはマイナス。牡馬は力のいる馬場なら、ブラストワンピースとキセキが浮上する。ワグネリアンはこなせるだろう。グローリーヴェイズは阪神自体が初めてで、力のいる馬場はマイナスと見る」

ただ今、宝塚記念予想特集にてプロの予想を無料で見られる500ptを全員に配布中。目下、好調のnige氏をはじめ、芸能界屈指の相馬眼を有する草野仁氏、netkeibaがプロデュースした人工知能Aiエスケープが宝塚記念の予想を公開！ ぜひ予想の参考にしよう！