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【スパーキングレディーC回顧】理想どおりに運んでファッショニスタが連覇(斎藤修)

  • 2020年07月16日(木) 18時00分
 昨年と同じ不良馬場(天気は昨年が曇で、今年が雨)。このレース連覇のかかるファッショニスタにとっては、目標とする逃げ馬も昨年と同じという状況。ゴール前は接戦となったが、理想どおりのレース運びで、着差以上に完勝といえる内容だった。

 ファッショニスタはスタートも速いし、その後のダッシュも速い。ほとんど馬なりのまま、外めの枠からハナを取りに来たサルサディオーネに脚を使わせることになった。

 逃げたサルサディオーネの直後に中央の有力勢が続き、4コーナーでは4頭がほぼ一線となっての追い比べ。メモリーコウは直線を向いて遅れだし、サルサディオーネも手応え的には劣勢。ファッショニスタが、最後まで抵抗したメイクハッピーを振り切った。川崎の不良馬場への適性もあっただろうし、すんなり2番手で楽に追走できたぶんの余力もあった。

 3/4馬身差で2着だったメイクハッピーファッショニスタをぴたりとマークして進み、直線では完全に並びかける場面があった。前走不良馬場の中山・下総Sで牡馬相手に一皮むけたレースぶりを披露していただけに、ここでもその充実ぶりを見せた。ただ1、3着馬とは1kgの斤量差があっての結果。

 サルサディオーネがつくったペースは前半800m通過が50秒4というややゆったりしたペース。昨年が49秒1で縦長の展開になったのに対して、それより1秒以上遅く、それゆえ先行有力勢の馬群が凝縮した。そのまま逃げ切ってもおかしくないペースだが、スタート後、スタートダッシュ抜群のファッショニスタに脚を使わされたところは大きかった。

 仮にサルサディオーネのほうが内枠であれば併走したまま1コーナーに入ればコーナーワークで自然に先頭に立てるが、外枠では1コーナーに入るまでに完全に先頭に立っていなければならない。その差は大きく、枠順が逆だったらどうだっただろう。とはいえ、昨年は直線脚が上がってファッショニスタに4馬身差をつけられたが、今回は3/4馬身+クビ。大井に移籍後は中央時代より20kgほど馬体重が増え、負けはしたものの昨年以上に充実ぶりを示す3着だった。

 メモリーコウは、前3頭に並びかけて4コーナーに入ったが、直線を向いてじわじわと置かれてしまった。コーナーのきつい川崎で、内の馬の脚色が鈍っていれば別だが、内の馬にも勢いがあって4頭併走の大外はやはり厳しい。さらに上位3頭がコーナーをうまく回っていたのに対して、メモリーコウはやや外に膨れたことでも遅れをとった。左回りを苦にするというほどでもないのだろうが、ここまでの勝ち星4つはすべて右回りだったということは微妙に影響したかもしれない。

 ダート牝馬戦線は、レースごとに勝ち馬が変わる混戦。昨年から今年にかけて重賞3勝を挙げたアンデスクイーンがいたが、今年制したエンプレス杯がラストラン。昨年浦和1400mのJBCレディスクラシックを制したヤマニンアンプリメはダートグレード3勝を挙げたが、短距離路線ゆえ牝馬路線への参戦はほぼない。ファッショニスタはスパーキングレディーC連覇となったが、1年ぶりの勝利だった。

 ファッショニスタは、安田隆行調教師によると、「昨年同様夏は休養、また秋に」ということなので、レディスプレリュードからJBCレディスクラシックとなるのだろう。今年のJBCは大井開催で、それで課題となるのが1800mの距離だろうか。堅実な成績ではあるものの、1800mではこれまで5戦して2着2回、3着1回、4着2回と勝ちきれない。ベストは1400〜1600mだが、当然陣営もそれに対応できるような調教はしてくるだろう。

 一方、地方期待のサルサディオーネにも大井開催というのはあまり明るい材料ではない。距離には対応できるが、これまで6勝、2着5回はすべて左回りで、右回りは9回走って掲示板が一度もないばかりか二桁着順がじつに7回。南関東に移籍したのは、川崎・船橋で牝馬重賞が充実しているからだろうし、大井所属にもかかわらず移籍2戦目以降は川崎・船橋のみを使われているのは、そういうことなのだろう。

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