夏の名物レースとして定着した、
JRA唯一の1000m重賞・アイビスサマーダッシュ。新潟直線芝1000mコースといえば2001年の創設当初から8枠有利が有名なコースだったのですが、その歴史を紐解けば、決して闇雲に8枠だけを買っておけば良い、などという単純な話ではないことを思い知らされます。
まず知らなければならないのは、8枠が有利だったのは創設から最初の4年だけだったという事実でしょう。創設前には有利不利のないフラットなコースになるのではないかともいわれていた新潟直線芝1000mですが、フタを開けてみると目に見えて外枠各馬が伸びる映像ばかりが続きました。
有利不利がないどころか、明らかに外枠が有利。最初の1年で外枠有利が周知のものとなり、内枠の各馬がスタート直後から外へ外へと殺到するようになっても、それでも外枠の絶対的優位が揺るがない特殊コースだったのです。
しかし、それも2004年までのこと。創設5年目の2005年から8枠スタート馬の成績は急落し、その傾向は2015年まで11年間も続きます。その間もずっと「8枠有利説」が多くの競馬ファンのあいだで妄信されていたのはちょっとした驚きでもあったのですが、創設当初の8枠有利はそれぐらい強烈な出来事だったということなのでしょう。
具体的な数字を出してみても、2005年から2015年までの新潟直線芝1000mコースは、1枠を除くとほぼフラットに近い成績。この頃8枠ばかりを買った人は、割と苦い思いをしていたかもしれません。
2005年-2015年の新潟芝1000m枠番別成績を見てみると、単勝回収率のバラつきこそあれ、勝率に関しては3%だった1枠を除き、5-7%となっています。このまま8枠神話だけが残り、フラットな成績に収束していくかと思われた新潟直線芝1000mコースですが、2016年あたりからまた風向きが変わってきます。
それは創設当初を超えるほどの、強烈な8枠有利傾向。2001年から2004年までを第一期、2005年から2015年までを第二期と考えて、2016年以降の新潟直線芝1000mは第三期(サードステージ)に入ったと考えるべきなのかもしれません。
期別に芝1000mの8枠成績を見てみると、第一期は勝率10%、単勝回収155%でしたが、第二期は勝率7%、単勝回収71%と落ち込んでいます。しかし、第三期は勝率12%、単勝回収113%と盛り返してきています。(※第三期は2020年7月20日現在)
さらに7枠成績を期別に見ていくと、第一期は勝率7%、単勝回収123%、第二期は勝率7%、単勝回収81%とやや成績を落としましたが、第三期では勝率9%、単勝回収103%と盛り返しているのは8枠と同様です。(※第三期は2020年7月20日現在)
8枠のみならず、7枠に関しても同様の傾向がある事実は頭に入れておくべきで、外枠有利が万人に知れ渡っているとしても、今後しばらくは再び7枠、8枠を重視して予想を組み立てていくべきなのでしょう。
このように競馬データには見かけ上の値『現状値(
Current value)』と、最終的に収束すべき値『収束値(
Convergence value)』があるはずで、現状値と収束値は必ずしもイコールの関係ではないことに注意すべきです。
とくにサンプルの少ないデータや、理由が説明できない不思議データは現状値と収束値がかけ離れている可能性も低くはありません。高回収率で飛びつきたくなるその数値、それは収束値ではなく、偶然が産んだ現状値なのかもしれません。
ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んで
アイビスSDを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文=岡村信将)