今夏は前半が新潟、札幌の2場開催だったり、札幌開催中の函館競馬場での在厩調整が認められなかったりで、出走馬の動向に例年との違いが生じている。その最たるものが新潟開催の「出走過多」(とりわけ条件クラス)だったのだが…。
新潟2歳S(日曜=30日、新潟芝外1600メートル)に関しては様相が異なり、特別登録は11頭とフルゲート(18頭)を大きく割り込む頭数にとどまった。
ではレベルも低いのかといえばそうでもない。しかも勝ち上がった競馬場が新潟だけでなく、福島、東京、阪神と多岐にわたり、馬券検討の面白みも増している印象だ。
精鋭が揃った当レースで中心を担うのは
シュヴァリエローズ、
フラーズダルム、
ロードマックスといった血統背景も魅力な1戦1勝の馬たちか。一方で無傷の2連勝で駒を進めてきた
ブルーバードは実績では最上位の存在ながら、どの程度の立ち位置(=人気)になるのかが読みにくい。その実力は果たしていかほどか、改めて検証する必要がありそうだ。
デビュー2戦はともにメンバー最速の上がりを駆使しての差し切り勝ちながら、一方でその数字は35秒3、35秒6とインパクトに欠ける。ただし、デビュー戦は稍重の福島芝1200メートル、そして次走の
ダリア賞は重馬場の新潟芝内回り1400メートルが舞台。派手な数字が出ないのも当然だ。では実際のところ、良馬場での上がり勝負の適性を厩舎サイドはどう見ているのだろうか?
「もともと“道悪はどうかな”って思っていたくらいなんです。小柄な馬なんで、どうしても道悪はパワーがいると思ってしまいますから…。だからこなしてくれたのは、むしろ意外でもあった。競馬内容を見ての通り、決め手はありますね」
管理する中舘調教師は「決め手」に不安を感じてはいない。ならば残る課題は「状態の維持」。
ダリア賞から中2週のローテーションは、猛暑の最中であることを重ねると好材料とは言い難い。実際、
ブルーバードは1週前追い切りを行っておらず、直前の一本のみで態勢を整える予定になっている。
「正直に言うと、前走後に体が減ったし、疲れもあったので、回復具合を見ながらの調整ですね。でも体はすでにできている馬だし、前回にしても中間は軽い調整しかしていませんでした。今はメンタルと体がちょうど合っている感じ。人間のエゴでそれを壊したくはないんです。重賞で注目される馬だったりすると、どうしても強く追いたくなりますけどね」
静かに、酷暑に打ち勝つ。これはこれで“攻めの一手”にも映る。真夏の2歳Sは馬の能力だけでなく、その仕上げにも厩舎の創意工夫が垣間見えて面白い。そんなちょっとした後押しが勝敗を左右する重要な役割を担うことになるのではないか。
(立川敬太)
東京スポーツ