「えっ、こんなに少ないの?」
先週木曜、会社から送られてきたGIII
小倉2歳Sの「想定表」を見て驚いた。その時点で出走を表明していたのはわずか6頭(連闘馬5頭の登録で最終的には11頭に)。小倉で唯一の2歳重賞としては何とも寂しい。もちろん、これが通常に行われた開催であれば仕方なしと割り切るしかないのだが、今夏はオリンピック仕様の変則開催。その影響が少なからずあったことは否めない。
特に小倉は例年の6週間から4週間に期間を短縮しての開催。単純にレース数が減っているのはもちろん、
ステップにできる番組が限られるという側面もある。
「中2週なら考えなくもないが、中1週なら普通は使わないよな。滞在でもない限りはね」
栗東のある調教師の言葉を借りれば、開幕週の新馬、または未勝利戦→
小倉2歳S(日曜=6日、小倉芝1200メートル)の中2週がギリギリの臨戦過程。例年、同じ小倉芝1200メートルを
ステップにしてくる馬が大半を占めるレースが、この短縮日程では頭数が集まらないのも無理はない。
まず状況を説明したところで、馬券的な本題はここから。
小倉2歳Sには当地でインパクトのある勝ち方をした2頭が出走する。
まずは開幕週の芝1200メートルで2歳の日本レコード(1分07秒5)を樹立した
フリードだ。
「あのペース(前半3ハロン32秒9)で行ってどうかと思っていたが、最後にまた突き放してくれた。スタートが速かったし、時計も素晴らしい」
西園調教師が興奮気味に振り返るように、
フリードが叩き出したV時計は翌週の古馬準オープン(
佐世保S)をも0秒1上回っていた。この時期の2歳馬でこのレベルの数字で走れる馬はめったにいない。引き続き同舞台なら勝ち負けは約束されたようなものである。
もう一頭は2週目の芝1200メートルで持ったまま5馬身差の圧勝を決めた
メイケイエール。勝ち時計(1分09秒4)こそ
フリードに大きく劣るが、スケールの大きさはこれに勝るとも劣らない。
「道中は我慢を利かせ、直線ではしっかり反応してくれた。追えばもうひと脚使えたと思うし、今後に向けてああいう競馬ができたのも良かった」 田中助手はさらなるパフォーマンスアップへの期待を隠さない。
ただし、
メイケイエールには課題もある。本題に入る前に触れた通り、中1週での再度の小倉輸送は非常にタフなもの。
フリード陣営が前走後すぐに
小倉2歳S出走を表明したのに対して、こちらは「状態を見極めてから」と慎重だったのも、そのあたりを考慮してのものだ。それでも厳しいローテをクリアして重賞制覇を成し遂げるようなら…。掛け値なしに大物誕生と言っていい。
わずか1週間、されど1週間。この違いが2頭の素質馬の走りにどれだけ影響を与えるのか。このあたりにも注目してレースを見守りたい。
(西谷哲生)
東京スポーツ