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【勝負の分かれ目 京成杯AH】コースを知り尽くしたベテランが、騎乗馬のさらなる強さを引き出した

  • 2020年09月13日(日) 17時45分
 2番ボンセルヴィーソ、7番ジャンダルム、8番シゲルピンクダイヤらが好スタートを切った。これらが先行集団を形成するかに見えたが、大外16番枠から出たスマイルカナがゲートから1ハロンほどのところで内の馬たちをまとめてかわし、ハナに立った。

 スマイルカナが単騎逃げの形に持ち込むのとほぼ同時に、横山典弘が乗る10番トロワゼトワルが2番手の位置を確保した。

「馬のリズムを大切にしました。去年とは違って馬がすごくおとなしく、いい感じで大人になっていました。おとなしかったぶん、進み方もこっちが『えっ』と思うぐらいで、行きっぷりがよくないというわけではなかったですが、冷静に走っていました」

 昨年の京成杯オータムハンデキャップもこの馬で制している横山はそう話した。

 トロワゼトワルは、逃げるスマイルカナを2馬身ほど前に見る2番手を進む。仕掛けのタイミングをはかりながら、3、4コーナーへ。ラスト400m地点で横山の手が動き、後続も一気に仕掛けるなか、直線に向いた。

 先頭は内埒沿いのスマイルカナ

 外からトロワゼトワルが並びかけようとする。が、ハンデ52kgのスマイルカナは簡単には止まらない。

 ラスト200mを切っても、まだスマイルカナが先頭だ。首ほど遅れた外の2番手がトロワゼトワル

 さらに外からボンセルヴィーソが伸びてくる。

 トロワゼトワルは、外から来るボンセルヴィーソの勢いも生かすように末脚を伸ばし、内で粘るスマイルカナと鼻面を揃えてゴールを駆け抜けた。

 僅かに鼻差だけ、トロワゼトワルが前に出ていた。

 トロワゼトワルは、このレースを連覇したと同時に、サマーマイルシリーズの優勝を確定させた。鞍上の横山にとってもこのレースは連覇で、通算では6勝目。

「2番手はちょうどよかったです。最後はよく踏ん張ってくれました」と横山。

 昨年は1分30秒3のコースレコードで逃げ切り、今年は1分33秒9と、3秒6も遅い決着になりながら、2番手から逃げ馬をきっちり差し切った。

 騎乗馬とコースを知り尽くしたベテランが、パートナーのさらなる強さを引き出した。

(文:島田明宏)

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