2歳牝馬の
エーデルワイス賞。その22年の歴史のなかで、本レースをじつに5度も制した
角川秀樹調教師(北海道)はこう語る。
「自分はやはり、牝馬を仕上げるのが好きなんだろうね…自分の調教が牝馬に合っている感じ」
騎手時代には、同一重賞を6連覇した伝説の名牝・
シバフイルドーの手綱を執るなど、ホースマンとしての人生のなかで牝馬との縁が深い彼。今年本レースに送り出す2頭もまた、
JRA勢を抑えて優勝を狙えるだけの素晴らしい素質を備える馬だ。
より期待が高いのが、
ソロユニット。デビュー戦こそ敗れたものの、その後は一歩ずつ階段を進むようにレースのランクを上げつつ、4連勝で重賞制覇。勝負どころからアッという間にラ
イバルを置き去りにしたその走りは、人間の子どもになぞらえれば小学校低学年ぐらいに相当する今の時期の2歳牝馬とは思えぬ、強烈なパフォーマンスだった。
「とても素直で、乗りやすい馬。いつも一生懸命走って力を出してくれる」と、騎乗する
阿部龍騎手がその完成度を高く評する一方、角川調教師は「レースまでにもう少しふっくらと仕上げたかった。」と、調整の最終段階まで細心の注意をもって臨む。好調が維持できていれば、今回も迫力あふれる走りで勝利をものにするだろう。
JRA所属の遠征馬にとっては、
地方競馬のなかでもとりわけタフな門別1200mのコースを克服する必要がある。短距離とはいえ速度一辺倒の馬では苦しく、道中で力を溜め、勝負どころからしっかり脚をのばすという、現時点の2歳牝馬には極めて難しい課題をクリアしなさなければ、勝利は得られない。
ミコブラックの2走前、小倉ダート1700m戦での勝利は、まさにそうした走りを実現してみせた強い内容。
JRA勢が今回勝つことがあるなら、恐らく、この馬になると思う。
(文=坂田博昭)