先週の関東馬の追い切りを数字や映像で確認し、違和感を感じたファンは少なくなかったろう。直線の加速が物足りず、大半の馬は精彩を欠く走りに映ったからだ。もっともその理由は単純かつ明快で、週初めにウッドコースでチップの入れ替え作業を行ったがゆえ。
「まだ馬場がこなれず、クッションが利きすぎて脚が沈み込むような感じ。あれでは苦手な馬はとても走り切れないし、時計も参考外だよ」という声が実際、各所から上がっていた。
毎日王冠を勝った
サリオスがウッドを避けて芝で追い切りを行ったのは象徴的。てっきり今週も“調教師泣かせ"の馬場が継続すると思っていたのだが…。
「今週も大変?いや、もう大丈夫だろ。調教師サイドの要望で、コースに圧をかけてウッドを固める作業をさっそく実施してもらったからね。通常の馬場と思って調教を見てくれていいよ」
全休明け(13日)の美浦でこう話したのは
国枝栄調教師。
JRAの迅速な対応はさすがだったが、例年ウッドチップの入れ替え時に起こるのがこの問題。いっそのことクッション値を測定するクレッグハンマーをここにも活用してみてはいかがだろうか。
さて、補正されたウッドコースで今週改めて真価を問われる一頭が、
秋華賞(日曜=18日、京都芝内2000メートル)に出走する
ウインマリリンかもしれない。
1週前追い切りでは併せた
ジュニパーベリー(2勝クラス)に半馬身遅れのゴール。「相手は攻め駆けするし、こういう馬場もめっぽう上手。乗った(横山)
タケシは“いい感じ"と言うし、手応えの差は適性の差でしょう。仕上がり自体はいいですよ」と
手塚貴久調教師は伝えてくれたが、躍動感に満ちあふれていた
オークス(2着)時と比べるとさすがに物足りなさは否めない。
そこで担当の藤井昇二助手にも馬の印象を尋ねてみたのだが…。
「確かに直線はモタついたけど、ゴール板を過ぎてからグーンといい感じで走っていった。馬体的に見栄えがするタイプじゃなく普段の判断が難しい馬だけど、あの姿を見れば問題ないと思うんですけどね」
それでも当方における最大の焦点は、第2冠
オークス同様に今回も全力で馬券を買えるか否か。馬場補正された今週と1週前、さらに
オークス時の追い切りをしっかり見比べて、最終結論を出す算段である。
(美浦の地盤沈下野郎・山村隆司)
東京スポーツ