天皇賞・秋は、女王
アーモンドアイが史上最多となる芝GI8勝目を挙げるか、がひとつの注目ポイントだった。では、芝という枠をダート、さらにGI/JpnIにまで広げてみるとどうだろうか。国内最多勝は11勝の
コパノリッキーとなり、そのうちの2勝が2014、15年と連覇した
JBCクラシックである。また、GI/JpnI10勝を挙げた
ホッコータルマエや、同9勝
ヴァーミリアンと
エスポワールシチーもJBC覇者。そう、JBC競走は数多のタイトルを手にした名馬がしのぎを削ってきた一戦なのだ。
今年は11月3日(祝・火)に行われるJBC競走は、
JBCクラシック、
JBCスプリント、
JBCレディスクラシックの3競走をさす。さらに今年から
JBC2歳優駿も創設され、4競走に増えた。実施場所は毎年、全国の
地方競馬場の持ち回り制で、今年はクラシック、ス
プリント、レディスクラシックが大井、2歳優駿は門別と、史上初めて2つの競馬場で開催される。
初めてJBC競走が行われたのは今から19年前、2001年
大井競馬場。
地方競馬の廃止ラッシュが始まりかけた不況の時代ながら、大勢の人でスタンドが埋め尽くされ、
JBCクラシックを
レギュラーメンバーが、
JBCスプリントを
ノボジャックが制した。
当時、
JRAにダートのGIは
フェブラリーS(1600m)と
ジャパンCダート(当時2100m、現・
チャンピオンズC)の2つしかなかった。さらなる活躍の場を求めるダート馬や、短距離志向のダート馬にとって、JBC競走は新たな選択肢となった。
「あともう少し距離が短かったら、この馬が強いんじゃないのかな」――
フェブラリーSの出馬表を見ながら、そう考えたことはないだろうか。2002年
フェブラリーS6着の
サウスヴィグラスは生涯、1400m以下のレースでしか勝てなかった。言い方を変えれば、1400m以下だと強さを遺憾なく発揮し、2003年
JBCスプリント(1190m)を制覇。引退後は種牡馬入りし、
ラブミーチャン、
コーリンベリー、
ヒガシウィルウィンなど産駒はダートで活躍した。
また、地方馬で初めて2007年に
JBCスプリントを制覇した
フジノウェーブは、現在も大井競馬の重賞・
フジノウェーブ記念として自身の名を残す。それだけ、JBCの称号は大きなものといっていい。
JBC20周年を迎える今年も豪華メンバーが揃った。
JBCクラシックには国内無敗の
クリソベリル、
JBCスプリントは
藤田菜七子騎手騎乗予定の
コパノキッキング、
JBCレディスクラシックはグラマラスボディの
ファッショニスタ、
JBC2歳優駿はハイレベルな2歳馬が揃うホッカイドウ競馬で重賞勝ちの
ラッキードリーム、
ブライトフラッグ、
シビックドライヴなどが出走を予定している。
さらに今年は、JBC20周年記念のオリジナルファンファーレが演奏される。キャッチコピーの「ダート競馬の祭典」にふさわしい特別な一日になることだろう。
(文=大恵陽子)