5月2日の
青葉賞以来、約半年ぶりの実戦となった3歳馬
オーソリティが、直線半ばで先頭に立って押し切った。骨折による休養明けで、プラス12kgの馬体重。数字が示すとおり、お腹のあたりにやや余裕があるように見えたが、2着の
ラストドラフトを1馬身半突き放す完勝劇を披露した。
大外18番枠から出て、前に馬を置くことができなかったにもかかわらず、道中は、縦長になった馬群の3番手で折り合った。鞍上の
クリストフ・ルメールが軽く促しながら4コーナーを回り、直線へ。
ラスト400m付近で先頭に並びかけ、ルメールの右ステッキに応えて伸びつづける。
「長い脚を使う。ちょっとずつ加速して、坂を上ってからトップスピードになって、ゴールまで止まらなかった」
ルメールがそう振り返ったように、圧巻のロングスパートで古馬勢をなぎ倒した。
テン乗りでありながら、この馬のよさを引き出し、ずっと馬場のいいところを走らせたルメールの手綱さばきは見事だった。
2着に来た
戸崎圭太の
ラストドラフトは、直線で、
オーソリティより外の、さらに馬場のいいところを伸びてきた。直線でロスなく外に持ち出してこの結果。
オーソリティより2kg重い56kgを背負っていたことを考えても、この舞台では、相手が一枚上だったということか。
1番人気に支持された
ユーキャンスマイルは、後方から3、4コーナーで内から押し上げ、直線入口では前を射程にとらえていた。ラスト400mを切ってから少しの間、前が詰まりそうな局面もあったが、鞍上の
岩田康誠は手綱を引くことなく追いつづけていた。スムーズに運んでいたとしても、結果はそう変わらなかっただろう。58kg自体は背負い慣れているとはいえ、他馬との相対的な比較ではやはり不利で、そのぶん動けなかったのかもしれない。
オーソリティはこれで6戦4勝。
ホープフルステークスでは
コントレイルにコンマ8秒突き放され5着に敗れたが、再戦が楽しみになる内容だった。
(文:島田明宏)