関東圏はいよいよ師走の中山
ファイナルステージに移行する。初日(5日)の芝内回り2000メートルを舞台に行われる1勝クラス・
葉牡丹賞といえば、2016年の覇者
レイデオロが最終週の
ホープフルS(当時はGII)、さらには翌春の
日本ダービーを制覇。クラシック戦線を占う意味で重要なレースとなっている。
今年の出走予定馬で当欄がスポットを当てたいのは
トーセンクライマー(牡・加藤征)。初陣は福島の新馬戦(11月1日=芝2000メートル)で、いわゆる“亜流”の臨戦過程ながら、加藤征厩舎の動向をつぶさにチェックすると、注目せずにはいられなくなる。
トーセンクライマーが勝ち上がった前週に
グラティアス(東京芝2000メートル1着)、翌週に
ジェニーアムレット(東京芝2000メートル2着)、翌々週に
アンダープロット(東京芝1800メートル1着)。芝中距離新馬戦で実に4週連続、好成績を挙げた加藤征厩舎で唯一、初戦後も在厩調整で連戦を選択したのが、この
トーセンクライマーという事実が肉体的完成度の高さを雄弁に物語っている。
そのデビュー戦のレースぶりは、前半は中団馬群でじっくりと折り合いに専念し、向正面から徐々に進出。直線では激しい叩き合いを制した。鞍上の横山和は「調教でも動いていたけど、手応えの割にビュンと切れる感じではなかったので、残り1000メートルから動いて行って、持ち味を生かす競馬をしました。イメージ通り、長く脚を使ってくれましたね」と会心の初陣を振り返る。
ゴールドシップをほうふつさせる芦毛の馬体。ファンの多かった父とダブる雄姿は今後の活躍次第で注目度がさらに増すことになろうか。一方で
ゴールドシップ産駒といえば気性の荒さが常に付きまとうのだが…。
「この馬は乗り手に従順で、操縦性が高い。競馬に行ってすごく真面目なんですよね。クラスが上がる今回は試金石になりますが、スタミナを生かしたいタイプで、タフな中山は合ってそう。この持ち味を武器に、いい競馬ができるのではないかと思っています」
そう、父のマイナス面ではなく、父のプラス面だけをしっかり引き継いでいるようなのだ。
トーセンクライマーが、父
ゴールドシップの背中が視界に入る走りを披露できるのか、大いに注目してほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ