スマートフォン版へ

【クイーン賞回顧】逃げて圧倒サルサディオーネ(斎藤修)

  • 2020年12月04日(金) 18時00分
 ダート牝馬路線は唯一のJpnIであるJBCレディスクラシックが頂点で、その約1カ月に行われるクイーン賞は、特に中央のメンバーが手薄になることもめずらしくなく、今回の中央勢はグレード勝ち馬がいないというメンバーとなった。そうした相手に恵まれたこともあったが、6歳の年末を迎えた牝馬が、また強くなった。サルサディオーネの逃げ切りは、そんな印象だった。

 サルサディオーネのほかに逃げる可能性のある馬は、ステラモナークラインカリーナあたりだったが、さすがに無理に競りかけてはこない。サルサディオーネは9番枠からでもいつものとおり抜群のダッシュを見せ、最初の3Fのラップは11.9-11.4-12.5で35秒8。これに競りかけて行く馬がいればオーバーペースになってしまう。ステラモナークが2番手で、パールデューラインカリーナと先行馬が続いた。

 サルサディオーネはその後もきっちり12秒台のラップを刻んで、3コーナーから後続を引き離しにかかった。ここで追ってきたのはメモリーコウだったが、手応えの差は歴然。メモリーコウ古川吉洋騎手はムチを入れても差は詰まらず、直線を向いて追い出されたサルサディオーネの独走となった。最後の1Fだけ13秒2だったが、鞍上の矢野貴之騎手はビジョンを見ながら、直線伸びてきたアッシェンプッテルの脚色を測りながらゴール前は手綱を緩めていた。

 サルサディオーネは、4月のマリーンCを勝ったときも同じ55kgだったが、そのときは別定戦で中央勢には57kgや56kgを背負った馬がいた中での勝利。しかし今回は単独のトップハンデ。好位を追走した馬が6着以下に沈み(パールデューは鼻出血で競走中止)、中団よりうしろを追走していた馬が2-4着に入ったことでも、逃げ馬として圧倒的に強いレースをしたことがわかる。

 同じ船橋1800mの日本テレビ盃は、牡馬の一流馬を相手に最初の3F=33秒8という無謀なペースでの逃げとなって9着。JBCレディスクラシックは12秒台のラップを刻んでマイペースでの逃げが叶ったが、牝馬ダートグレード路線で常に上位を争う馬たちに直後で突かれたことで直線では余力がなくなって7着。そうした厳しい相手との厳しいレースを経験したことで、6歳の牝馬がさらに充実を見せたといえるだろう。

 サルサディオーネのような何が何でもという逃げ馬は、ほかに同型がいるかどうかでも結果を左右されるが、船橋コースはこれで6戦して3勝、2着2回。一度の惨敗は前述の通り牡馬一線級相手の乱ペースだから例外と考えてよい。川崎でも2着3着の好走があり、対して大井では3度走って今年のJBCレディスクラシックでの7着が最高着順。中央での4勝も中京、東京、新潟で挙げていたように、やはり左回りで、さらに船橋のゆったりしたコースが合うということだろう。

 勝ち馬以外で見せ場があったのは、2着のアッシェンプッテルだけ。縦長の中団よりうしろを追走して3コーナー手前からのロングスパート。上り3Fが37秒5で、サルサディオーネの上り(=レースの上り)38秒6より速い上りを使ったのはこの馬だけ。さすがに中央のダートオープンで牡馬と好勝負をしていただけのことはある。ただサルサディオーネの強さが際立っていただけに、評価はまだ難しい。

 そこから8馬身も離れて3、4着に、軽ハンデの伏兵サルサレイア、アタマ差でマルカンセンサーが入った。サルサディオーネの2歳下の半妹サルサレイアは、アッシェンプッテルのうしろからそれを追いかけるように進出しての3着。惜しくも4着ではあったが、マルカンセンサーはうまく流れに乗った。スタート後の直線ではスピードに乗って3番手のパールデューに並びかけようかという勢いだったが、位置取りを下げて向正面ではアッシェンプッテルの前の中団。ペースが緩まなかった中盤で脚を溜めたことで、最後の踏ん張りにつながった。マルカンセンサーは昨年のTCK女王盃でも勝ち馬から差があっての2着という経験があった。

 5着のメモリーコウは休み明けもあっただろうが、強い逃げ馬を負かしに行っての完敗だった。

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す