今週メインは2歳女王決定戦・阪神JF。主役は3戦3勝の白毛馬
ソダシだろうが、実は当方がひそかに期待する“無敗馬”が他にいる。ルメール騎乗の
サトノレイナスではない。注目しているのは阪神ではなく、中山のGIII
カペラS(日曜=13日、中山ダート1200メートル)。公営成績を含めダートは6戦6勝の
ダンシングプリンスが目下、最大の興味の対象なのである。
「重賞で果たしてどこまでやれるか。今後を占う試金石ですよね」
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宮田敬介調教師のトーンは一見、控えめ。とはいえ師匠である国枝調教師同様、大風呂敷を広げるタイプではない。今年3月の開業からすでに15勝を挙げるが、この
ダンシングプリンスを除けば1番人気の勝利はわずか一度きり。重要なのは話の中身を吟味することと担当記者なら誰もが心得ていよう。
さて、4月の再転入初戦(1勝クラス)から今回が4戦目。ダート馬にしては極めて大事に使われてきた背景には当然ながら理由があった。
「初戦はヒザにダメージが残り、レース後はダクも踏めませんでした。2戦目は爪の不安があり、3戦目はやや夏負け気味。当初は体質の弱さが気掛かりでしたね」
今回も当然のように2か月ぶり。取材前は間隔を空けざるを得なかったと勝手に捉えていたのだが、予想外の言葉が続いたのは、ここからだった。
「いや、前走後はダメージがなかったんです。もともと重賞に
トライしようというもくろみありきの充電でした。ただ、想定外だったのは馬自身の急成長ですね。前走に比べて肩や腰回りの筋肉が明らかにパンプアップ。どんどん実になり、今は520キロくらい体があるし、乗るのが大変なくらいパワーアップしているんですよ。ちょっと怖さすら感じますね」
虚弱ながらも3連勝を飾った好素材が本格化。オープン入り直後の重賞挑戦は、やはり相応の手応えがあればこそだった。一方で父
パドトロワは11年
スプリンターズS2着馬。伯
父デュランダルという血統背景を思えば、芝の走りも再び見てみたくなるのだが…。
「確かにテンの1ハロンは芝のス
プリンターより速いくらいですよね。ただ、歩様の硬さが残る現状で無理はさせられません。そのあたりはタイトルを取ってから考えましょうか」
思えば馬もトレーナーもスタートを切ったばかり。夢を追うのは来年で遅くなかろう。いずれにせよ、無敗馬のさらなる飛躍を占う楽しみな舞台が、今週は西でも東でも待っている。
(美浦のゴール間際野郎・山村隆司)
東京スポーツ