昨年の香港国際招待レースデーは4レースすべてで的中。今年は
凱旋門賞も的中したように、海外のレースも血統を中心とした予想アプローチはとても効果的。常々書いていることですが、血統を競馬の予想に活用する際には「サンプル数(所謂データ数)」はさほど重要ではありません。
血統と競馬場の仕組み(血統の能力の方向性と競馬場で要求される能力の方向性)さえ理解できれば、的中への確率は大きく高まるのです。海外のレースでは、日本のレースのように種牡馬成績とコース成績を機械(競馬ソフトなど)で集計する手法も確立されていないため、機械だけで競馬を分析するようなプ
レイヤーが血統には手も足も出ないのが、ますます有利なのかもしれません。では、今年の
香港マイルと
香港カップの傾向を分析していきましょう。
香港マイルは15年に
モーリスが1着、18年に
ヴィブロスが2着、19年に
アドマイヤマーズが1着と、過去5年で日本馬は2勝、2着1回の成績を残しています。日本で主流のサンデー系も走りやすいレース。過去に当レースを勝った
JRA所属馬
エイシンプレストンもそうでしたが、このレースで実績を残す日本馬は中距離指向です。
エイシンプレストンは
毎日王冠を制し、
モーリスは後に
天皇賞・秋を勝ちました。
ヴィブロスは
秋華賞を勝利し、
ドバイターフを圧勝。
アドマイヤマーズも
共同通信杯2着で
皐月賞でも善戦。日本に比べても、タメて直線で伸びることが要求されるので芝1800m以上、とくに東京芝1800mのような適性が要求されています。
このことは、昨年のレース前にも指摘。本命に勝ち馬の
アドマイヤマーズを推奨しました。
アドマイヤマーズは
ヴィブロスと同じく、父がサンデー系で母父が
マキャベリアンの系統。中距離で、差しに回る競馬で良さを発揮できる血統です。レース前の予想にも書いたように、スミヨン騎乗で差しに回ることも、同馬の中距離指向のキレを引き出すのにはピッタリでした。
とはいえ、馬券面では日本馬が向くことはわかっていることですし、日本馬は人気になりやすいので、ここではあえて日本馬以外で当レース向きの馬に注目してみます。人気のなさそうなところではオーダーオブオーストラリアは当レース向きの血統。
2000m以上を中心に使われていて、重賞の実績はほぼなかったにも関わらず、1600mの
BCマイルで時計の速い流れ、馬場にも難なくこなして超人気薄ながら勝利。イギリス、アイルランドのスタミナや馬力勝負では力を発揮できず、日本、フランス寄りのスピードやキレを要求されたほうが高い能力を発揮する馬です。
父の母が
香港ヴァーズ勝ち馬でBCフィリーアンドメアターフ2勝。
ジャパンCでも好走した名牝ウィジャボード。こちらの適性が出ているタイプで、母父も香港適性が高い
デインヒル。本命にまで推すかはわかりませんが、おさえる妙味は十分といえます。
昨年の
香港カップは、香港国際競走のなかで日本馬が最も高い適性を示すレース。過去5年で日本馬が2勝、2着2回、3着も2回。2015年はワンツーでした。中距離においては、日本馬のレベルのほうが香港馬に比べて圧倒的に上です。
ディープインパクト産駒も
エイシンヒカリ、
ステファノスと複数の馬が好走。あまりにもこのレースには向かない血統の日本馬以外を狙うことも重要です。昨年のレース前にも書いたように
ウインブライトが勝つ可能性が高かったのですが、4人気で3着の
ライズハイを泣く泣く本命に。一昨年は、4人気で1着のグロリアスフォーエバーが本命でした。
「香港馬のなかで日本向きの馬を狙う」という逆発想で、なんとか日本で売る馬券では妙味の高い香港馬を推奨できていますが、馬券妙味は別にして当てるなら「香港適性の高い血を持つ日本馬」を狙うアプローチが楽。このご時世でなければ、香港に買いに行けば旅費以上に儲けられることも多々あります。
今年の出走メンバーで目に留まるのが、
ディープインパクト産駒の
ダノンプレミアム。母母父は香港適性高い
デインヒル。本質的な適性は、血統的には日本よりもこのレースのほうが向いているぐらい。馬券的には、他の日本馬にできる限り人気が集中することに期待しましょう。
(文=亀谷敬正)
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