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【兵庫GT回顧】コース適性と好騎乗で接戦を制したサクセスエナジー(斎藤修)

  • 2020年12月24日(木) 18時00分
 有力馬に逃げ馬が何頭か揃って先行争いがポイントになるかと思われたが、大外枠のラプタスはタイミングが合わなかったのか躓いたのか、出遅れた。気合を入れたゴールドクイーンの行きっぷりもそれほどではなく、枠順に恵まれたベストマッチョが難なくハナをとった。

 ぴたりとゴールドクイーンがつけて、ツーエムマイスタートップウイナーも差なく雁行状態で続いたが、1、2コーナーでペースは落ち着いた。800m通過48秒8は、中央との交流としては速くはない。それゆえ、向正面中間でいち早く仕掛けたのがベストマッチョ森泰斗騎手だった。早めに後続との差を広げ、脚を使わせてしまおうという作戦だろう。そのとおり、4コーナーで直後にラプタスが迫ったが、直線ではこれを振り切った。

 しかしそれ以上にうまく乗ったのが、サクセスエナジー松山弘平騎手。行く馬が多いメンバーゆえ、枠順的にも中団のラチ沿いは想定していただろう。3コーナーではまだ先頭と5馬身ほどの差があったが、4コーナーでもラチ沿いすれすれを回って差を詰めた。直線ではじわじわと迫り、ベストマッチョと鼻面を並べたところがゴール。写真判定は、一目盛のわずか1/3か1/4ほどの差だったが、サクセスエナジーが前に出ていた。

 サクセスエナジーは、トップハンデ58.5kgと、デビュー以来最高となる556kgの馬体重が心配された。前走比ではプラス22kgだが、540kg台では何度か勝っており、1週前の追い切りでは栗東の坂路で好タイムをマークして仕上がりは万全のようだった。とにかく松山弘平騎手の好騎乗に尽きるが、これで重賞5勝はすべて地方のコーナー4つの1400m戦。

 直線、外のラプタスを抜かせまいと馬体を寄せた森騎手は、内から迫るサクセスエナジーにはどのあたりで気づいただろうか。勝負はまさに紙一重だった。オーバルスプリントと同じワンツーだが、そのときは斤量4kg差があって2馬身差。今回は2.5kg差に縮まってハナ差だからベストマッチョの健闘も評価できる。

 ラプタスは出遅れがすべて。それでも3コーナーから外を回って一気に前に取り付くあたりの行きっぷりは際立っていた。最後、とらえきれなかったのは、そこで脚を使ったぶんと、ハンデ。大外枠でもゴールドクイーンのすぐ外あたりにつけられていれば勝っていたかもしれないと思わせる、ハナ+クビ差の3着だった。

 それにしても上位3頭は、地方の小回り1400m戦が得意なことをあらためて示した。

 ナリタミニスターは、サクセスエナジーと同じような位置を追走したが、サクセスエナジーが向正面から徐々に進出を開始したところで、ナチュラリーゴールドクイーンが下がってきて行き場を探すような場面があって、ペースアップした流れに乗れなかった。あれがなければ前3頭ともう少しきわどい勝負になっていたかもしれない。

 デビューから7連勝で注目された3歳馬サロルンは5着。1番枠から好位のラチ沿いを追走したが、3、4コーナーでなんとか先行集団に食い下がったまでだった。同じ舞台の楠賞の勝ちタイムが稍重1分27秒8で、今回の勝ちタイムは良馬場とはいえそれより遅い1分28秒0。競馬は単に時計の勝負ではない。地方の3歳馬同士と、中央の古馬オープンとの対戦では、レースの厳しさが違う。ここで一線級の相手との対戦を経験したことで、今後に期待だろう。

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