京都競馬場の改修工事に伴い、今年は番組編成にも様々な変化があった。直近では年始の京都が中京開催に替わったこと。恒例の
京都金杯が中京で行われるのは、東京ディズニーランドが千葉にあるのと同じくらい違和感を覚えてしまうが、予想という観点に立てば、それも面白い要素のひとつかもしれない。
一方、第3場で開催される障害レースが相当数増えたことは、まだあまり知られていない変化ではないか。例えば16日から始まる1回小倉開催では8日間で計12鞍が行われる。昨年、小倉で行われた障害レースが年間を通じて5鞍だったことを踏まえれば大きな変化。で、本題はここから。この番組変更を好機と捉えているのが、1回小倉で障害デビューを予定している
リッジマン陣営だ。
「小倉には障害のいろんな要素があるからね。たすき、バンケット、固定障害から最後は置き障害に。このコースで走ることができれば、先々にもつながってくると思う」
こう話すのは
リッジマンを管理する庄野調教師。経験値を上げるには申し分ない舞台で、番組も選びたい放題。新天地への路線変更としては絶好のタイミングとなろう。
もちろん、この計画は突然に決まったわけではない。障害練習は昨年9月から平地調教と並行して行われており、障害転向の話自体はそれよりもかなり早い段階から案として出ていた。いい機会なので、改めて路線変更の理由について質問するとトレーナーからはこんな答えが。
「障害には“小脚が使える短距離馬のほうが向いている”と言われているけど、そういう器用さよりも性格とか気持ちの面が大事なように思うんだ。感覚的なものだから言葉にするのは難しいけど、競馬に行って物おじしない勇気、最後まで諦めない気持ち…それが
リッジマンにはあるから、障害でもやれるんじゃないかと思ったんだ」
日本最長の平地重賞・
ステイヤーズSを制した“強心臓”の持ち主が、障害でどんな走りを見せるのか。障害デビュー戦で手綱を取る予定の
森一馬騎手もかける期待は大きい。
「重賞を勝っているだけあって、いい背中をしています。長距離で活躍したスタミナが障害でも生きれば…。イメージとしてはつながりやすいですよね」
一方で「飛越はまだ水準くらい」とのことだが、
中山大障害で人馬ともにJ・GI初制覇を果たした
メイショウダッサイを引き合いに出しつつ、「ダッサイも障害練習を始めたころは普通という感じでしたが、レースと練習を積み重ねていくうちにどんどん成長してくれました。それが障害の良さでもあるんです」と笑顔で締めてくれた。
2021年に8歳にして新たなステージに挑む
リッジマン。J・GI制覇で勢いに乗る
森一馬騎手とともに二人三脚で成長していく姿を楽しみに見守りたい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ