英
ロイヤルアスコットで並み居る世界の強豪を差し置いて1番人気に推された経験を持つ
エイシンヒカリ。一時はレーティングで世界1位に輝くなど、海外GI2勝の実績を誇る名馬だ。その初年度産駒が昨年デビュー。その中で
JRAでの初陣を飾ったのが
エイシンヒテンだった。
2歳新馬戦の開幕3週目となる6月21日のデビュー。もっとも、勝ち上がりは9月6日で結局、4戦を要することに。しかし、記念すべき初勝利を
エイシンヒカリの主戦でもあった
武豊騎乗で挙げたことで、この
エイシンヒテンが何かを“持っている”と感じたのは記者だけではあるまい。
その“持っている馬”
エイシンヒテンが、4・11
桜花賞出走への正念場となるGII
フィリーズレビュー(14日=阪神芝内1400メートル、3着までに優先出走権)を迎えるとなれば、記者も自身の直感を信じて取材に突き進むのみだ。
前走の
クイーンCでは父
エイシンヒカリをほうふつさせるかのように楽々と先手を取り、直線で一旦はリードを広げるシーンも。最後の最後に捕まり、0秒2差4着に敗れたものの、見せ場十分のレース内容に映った。
「レース後の団野君の話では“ずっと物見をしていた”ようですね。それでもあの内容ですから、最後まで集中して走れていれば、ラストにもうひと脚使えていたのかなとは思いますね。まだ幼くてフワフワする面が残りますし、内にモタれるところも。似なくてもいいところまで、父に似ていますよね(苦笑)」
管理する渡辺調教師は前走内容を評価すると同時に、気性面の課題も挙げたが、父譲りの小気味いい徹底先行
スタイルこそが
エイシンヒテンの最大の魅力でもあろう。
「周りが速くても行けるのか。まあ、何が何でもハナというわけではないし、番手でも粘ってくれそうなので」と口にしながらも、「やはり逃げた
白菊賞はいい勝ち方でしたし、行けるに越したことはないですけどね」と先手を取ることこそが勝利への近道とトレーナーも感じているようだ。
世界にその名をとどろかせた
エイシンヒカリの“長女”
エイシンヒテンが今後、大きく飛躍するための足場にできるのか。後に「あのレースがターニングポイントだった」と言われるような走りを期待したい。
(鈴木邦宏)
東京スポーツ