桜前線が長い旅路を終え、馬産地日高にもようやく春を押し上げて来た。朝晩の空気にまだ冬の名残が色濃く残る中、4月14日に開幕を迎えたばかりのホッカイドウ競馬だが、シーズン最初の重賞であるこの
コスモバルク記念に出走する馬たちの目線の先には既に、開催最終日の大一番「
道営記念」へと続く道が輪郭を現している。
さて、この重賞の予想において踏まえておくべき基本的要素は、仕上がりの差である。シーズンオフのある競馬場特有の
ファクターだが、開幕して間もない日程で行なわれる以上、能力差以上にその差が結果を大きく左右すると言っても過言ではない。
昨年の
道営記念の覇者、
クインズサターンはここが始動戦となる。昨年は転入初戦から無傷の4連勝で頂点へ登り詰めた。中団以後の位置で脚をため、最後の直線で末脚を爆発させる戦術は、コーナーが緩く、直線の長い門別コースでの躍進を裏付けている。この強靭な脚力と実績には当然、一目置かなければいけないが、当馬にとってシーズンオフという形での休養は初めての経験であり、勝利したとはいえ、レース間隔が空いていた移籍初戦での反応の鈍さを踏まえると、今回は差し届かないケースが考えられる。
そこで中心視したいのは、一昨年の
道営記念を逃げ切った
リンノレジェンドだ。こちらは既に4月21日に今季初戦を迎え、勝利している。自分のリズムを守れたことがその主な勝因だが、陣営が体の重めを取り除くのに苦心していた昨年とは裏腹に、過去最大馬体重の520kgで勝利を収めたのだから価値がある。同型馬不在で展開利も大きい今回は、久々の地元重賞勝利の大チャンスだ。まだまだ伸び盛りの5歳馬。復権に要注目のシーズンである。
クインズサターンは対抗評価に。馬券的妙味という観点からも、ひと叩きされた
クラキングス、
ステージインパクトの2頭は外せない。新顔
テーオーフォースもその地力は認めるべきだが、強調材料に欠く以上、重い印は回しづらい。
(文:競馬ブック・板垣祐介)