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【皐月賞】無敗馬「戴冠」の可能性(グラティアス)/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2021年04月14日(水) 18時02分
 昨年はデアリングタクトコントレイルの出現により“無敗の――”という表現がクラシックレースが行われるたびに飛び交っていた。そして今年もまた開幕戦の桜花賞ソダシがいとも簡単に「無敗の桜花賞馬」に上り詰めた。勝負事は“流れ”が大事だと言われる。必然的に皐月賞(18日=中山芝内2000メートル)もまた無敗馬に注目――。「POGマル秘週報」拡大版で2頭の無敗馬の可能性に迫った。

 該当馬2頭の比較では共同通信杯を制した3戦3勝馬エフフォーリアにより注目が集まることになろうが、記者はもう一頭の無敗馬グラティアスに大いなる可能性を感じている。

 キャリアは2戦2勝。そして手にしたタイトルは年明けの京成杯。ひと昔前ならクラシックを狙うには“亜流”に扱われる戦績だが、ご存じの通りコントレイル皐月賞ソダシ桜花賞はぶっつけでの戴冠。今の時代、果たして定石としての前哨戦がどこに存在し、どれほどの価値を成すのか、はなはだ疑問が残る。もはや“古い常識”は捨てねばなるまい。

 グラティアスの過去2戦を振り返ると、デビュー戦が逃げ切り、そして2戦目は好位からの早め抜け出しだった。特に京成杯では抜群の競馬センスを披露。前半5ハロン63秒7の遅い流れにも気負いのない追走から、直線では多くの馬が馬場の傷んだ内を避けて外に流れたのに対して、まったくちゅうちょすることなく、内ラチ沿いを選択しての勝利だった。にもかかわらず、加藤征調教師は「この馬が本当に良くなるのはまだ先。今回よりもダービー、そして秋の菊花賞はさらにいいと思っているんだ。2戦の内容は確かに文句なしだけど、今度は相手も強くなるから」と控えめに話す。勝ちっぷりの良さよりもまず、肉体的な完成度がトレーナーに“まだ先”を意識させるのだろうか?

 さかのぼれば、昨年4月にはすでに美浦に入厩してトレーニングを開始していた馬なのだが、デビューは夏どころか、秋も深まる10月24日と時を要した。2019年セレクトセール(1歳)で2億3000万円の高値を付け、同年末に半姉のレシステンシアが阪神JFを制覇。グラティアスへの期待と評価が日に日に高まっていた中でも、じっくり成長を促しながらの出走だったことは明らかである。裏を返せば、そんな中でも3戦目にして大舞台にたどり着いてしまったのだから、その器の大きさは計りしれない。

 当初コンビを組む予定だった松山の騎乗停止でM.デムーロへの再変更を余儀なくされたが、ギリギリ1週前追い切りに騎乗して感触をつかめるタイミングだったのは運の強さかもしれない。ましてや鞍上は皐月賞4勝(03年ネオユニヴァース、04年ダイワメジャー、13年ロゴタイプ、15年ドゥラメンテ)の“もってる男”だ。その皐月賞男は「結構かかるね。うるさいくらい。だけど、すごくいい動きだし、スピードがある。かかる面は競馬に行けば大丈夫と厩舎からは聞いているから」と好感触を伝えた。

 一方、まだ成長途上だからこそ、一貫して強気な発言は封印している加藤征調教師にしても「本質的にはスローの瞬発力勝負より、スタミナが求められる持久力勝負のほうが向くだろうね。それもあって距離はもっと長くてもいいんだけど、スタートの反応がとてもいい馬で、どのポジションでも折り合いがつくから、中山の2000メートルは合うんだ」と舞台適性の高さは否定していない。

 下馬評は決して高くはないかもしれないが、皐月賞では“さすがは無敗馬”と言わしめる走りを見せてくれそうな気がしてならない。

(立川敬太)

東京スポーツ

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