今年で58回を数える伝統の重賞「
赤レンガ記念」は、
道営記念へと続く古馬中長距離重賞戦線の第2戦であり、大一番と同じ外回り2000mで争われる。近年では
オヤコダカや
スーパーステションが連覇を果たしているが、真の底力が必要な舞台設定とあり、やはりその時点での能力の絶対値が如実に結果に現れるレースである。
コスモバルク記念を危なげなく勝利して王者の威厳を示した
クインズサターンに、逆らう手があるだろうか。休み明けというハンデに他馬が付け入る隙があるだろうと、前走で逆らってみたものの、役者が違うと言わんばかりの勝ちっぷりを見せられてしまった。
今回は叩き2戦目、門別2000mも
道営記念でクリア済、新興勢力も見当たらないメンバー構成となれば、反抗しようとしたところで、もはや武器を持たない裸の
レジスタンスとなるだけだ。強い王の走りを信頼しよう。
相手選びは難しいが、筆頭には
リンノレジェンドを挙げる。
コスモバルク記念では2番手追走を選択したが、ス
プリンタータイプの逃げ馬が刻む特殊なラップの中で、うまくリズムを作れなかった。
今回は陣営から逃げ宣言が出ており、今度こそ単騎逃げが濃厚である。ただ、クインズは流れに関係なくいつも自分の型に嵌めて競馬するタイプゆえに、ペース配分で脚を使わせる作戦は効かない。
一方で実際のところ、手法が異なるというだけで、リンノにしても自己本位型であるという本質はクインズと同じなのだ。相手に合わせず自分のリズムで逃げたときの粘り強さは、一昨年の
道営記念や今季初戦が示す通りである。
相手を負かすより馬の能力を最大限引き出すことに主眼を置く騎乗
スタイルの
石川倭騎手と、手は合うはずだ。お互いが自分の型でレースして初めて、力の差がどの程度か明らかになるだろう。
無論、単穴は不要。昨年覇者である
ステージインパクト、転入初戦の
コスモバルク記念で2着の
テーオーフォース、今季好調な
クラキングスの3頭を連下候補とした。
(文:競馬ブック・板垣祐介)