スマートフォン版へ

オークスでソダシが挑む最大のミッションは無敗の2冠制覇ではなく「クロフネ産駒初の長距離GI制覇」/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2021年05月12日(水) 18時10分
 春の3歳GIは来週のオークス、再来週のダービーを残すのみとなった。少数の“勝ち組”を除けば、すでに次代のPOG戦線へと視線が移っていたりするわけで、実際に記者にも「2歳世代のイチ押しは?」といった質問がくることが多くなった。ありがたい話だ。昨年の指名馬で期待通りの活躍をしてくれたのはステラヴェローチェくらい。そんな記者の“眼力”をいまだに信じてもらえるのだから…。

 ゆえに今年はやらねばなるまい。そう意気込んだところで、行動パターンは基本的に同じ。懇意にしてもらっている音無調教師のダービー制覇を見届ける――。これを現在の最大ミッションにしている記者の仕事はまず音無厩舎の“一番馬”を見つけること。POG取材で「(2017年の青葉賞を勝ち、ダービーでも1番人気の支持を受けた)アドミラブルの再来かもしれん」という言葉が出たダノンフォーナインがいる今年は実に簡単だったはずが…。

 3月中旬に入厩してきたこのダノンフォーナインはダービー馬候補と思えないほど頼りない歩き方。トモが甘いのか、歩いている姿に力強さをまったく感じないのだ。音無調教師に率直な感想をぶつけてみると「それは当たり前だよ。ゲート試験を受けさせるために入厩させただけでまるで鍛えてないもの。これから牧場でしっかりと乗ってもらって、こっちでもきっちりと乗る。まあ、それからだよな」と心配無用の口ぶり。なるほど、そういうことね。ならば、我が見解は封印しようか…なんて尻軽ぶりを発揮できるのもPOG取材の醍醐味だ(苦笑)。

「歩いているときは頼りないけど、走らせるといいフットワークをする。“アドミラブルの再来”かどうかはわかりませんが、良くなりそうな感じのある馬ですよ」とは担当の林助手。最終ジャッジは再度の入厩を果たしてからでも遅くはないが、今年はこのダノンフォーナインと心中しようと決めた次第である。ちなみに宝塚記念当日(6月27日)のデビューを視野に入れているそうだ。

 一方、須貝調教師の「この世代は違うよ」という力強い言葉を聞き、各地で須貝厩舎の馬を激奨して始まった昨年のPOG戦線だったが…。肝心のソダシは血統を理由に対象から除外。父クロフネ母ブチコを理由にダート馬と決めつけてしまった判断に反省しきりである。

「誰もがそうやって先入観で物事を見ているんだよね。ダートも走るかもしれないけど、芝がダメな走りではなかった。なので最初は芝を使った。それだけのことなんだけどな。オークスの距離に関しても同じ。最初から距離は持つと思っていたし、個人的には桜花賞よりもオークスのほうが向いていると思っているくらいだから」と須貝調教師。いやいや、本当に面目ないと思う一方で、オークスだけはトレーナーのジャッジが狂う可能性もある…なんてことも考えている。

 理由は父のクロフネ。またまた血統を理由にして申し訳ないが、クロフネは芝、ダートで分けるのではなく、1800メートルまでか、それ以上の距離かで分別するのが正解とみているからだ。

 クロフネ産駒は芝で重賞を37勝。しかし、それはすべて1800メートル以下の距離であり、2000メートル以上の距離では0勝、2着も7回のみである。ハードルの高さを痛感する記録ではないか。

 ソダシが挑む最大のミッションはデアリングタクトに続く無敗の2冠制覇ではなく、クロフネ産駒初の長距離GI制覇のほう。トレーナーの眼力か、それとも“血の呪縛”か――。希代のアイドルホースが走る来週末のオークスはPOGうんぬんを抜きにして大注目なのである。

(松浪大樹)

東京スポーツ

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す