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【ヴィクトリアマイル】欧州型のディープ産駒デゼルは「切れる」というより「しぶとく脚を使う」/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年05月12日(水) 20時54分
 阪神牝馬Sで重賞初制覇を飾ったデゼル。その前走を含めたキャリア7戦の自身上がり3ハロン平均は約33秒7。さすがはディープインパクト産駒、末脚が切れるなあ…なんてことはちっとも思わない。むしろ、勝負どころで鞍上の手が少し動いていた前走のレースぶりを見て、陣営の言う通り「ディープ産駒らしくないディープ産駒」だと再認識した次第だ。

 まあ、ディープインパクト産駒の本質が一瞬の加速力にあるのか、それとも速い脚を長く使えることにあるのかに関しては、ディープ自身が他界してしまった現在でも明確な答えは見つかっていないのだが…。柔らかい身のこなしだとか、走りだしての軽さとかが特徴であるとするのなら、やっぱりディープ産駒らしくないのだ。

 以前、デゼルの特徴について大江助手はこう口にしていた。

「背中の使い方にすごく特徴のある馬で、日本にはなかなかいないタイプですね。これは(武)豊さんも言っていたのですが、乗っている感じはフランスの馬みたい。母系(母は仏2冠馬のアヴニールセルタン)の影響が強いのかもしれません。一方でヨーロッパのディープインパクト産駒は日本のそれと少しイメージが違っていて、勝負どころから少しずつ加速させ、いい脚を長く使うようなレースをする馬が多い。デゼルもそちらのタイプではないかと僕は思っています」

 実際、欧州のディープインパクト産駒に目を転じてみれば、サクソンウォリアー(英2000ギニー)もスタディオブマン(仏ダービー)も父のような直線一気の競馬をしているわけではない。切れるというよりも、しぶとく脚を使う。そんな表現のほうがやはり妥当に思える。

 そのことを頭にしっかりと叩き込んだうえで、今週の第16回ヴィクトリアマイル(16日=東京芝1600メートル)での可能性を検討してみると…。デゼルの状態は良好。いや、本当にすこぶる良好らしい。

「爪の不安が解消したし、以前よりカイバも食べている。それがすべて実になっているので最高の状態ですよ。それにコース形態が最も合うのは東京。輸送にまったく不安がない馬ですし、すべてのレースを東京で走らせたいくらい」

 これだけでも十分な買い材料なのだが、個人的には1週前追い切りに乗った「川田ジョッキーから“前回に乗せてもらったときよりもバランスが良くなった気がする”と言われたんですよ。慣れてきただけじゃないのと返したら“そうかもしれない”って笑ってましたけどね」と大江助手が教えてくれた鞍上とのエピソードのほうにより興味をそそられた。

 なにせ、デゼルは走りに特徴がある馬。ゆえに「ダクやキャンターとギャロップでの違いが大きいので、ジョッキーには感触をつかんでもらいたい」と大江助手は常に口にしている。そして、調教→実戦→調教と段階を踏んだ川田は積極的に馬を動かし、いい脚を長く使わせてくれるジョッキーだ。十分にデゼルを理解したうえで、どう乗ってくれるのか? これこそが今回の一戦の一番の見どころではないかと思っている。

 ディープ産駒らしくないディープ産駒改め、欧州型のディープ産駒デゼル。この馬の本当の力がわかるレースになることを期待している。

(栗東の本紙野郎・松浪大樹)

東京スポーツ

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