今週からいよいよ夏の北海道シリーズが開幕。もう10年以上、現地での取材をルーティンにしている記者は数週間前から気持ちの高ぶりを抑えられずにいるが、例年と大きく違うのは札幌開催からスタートすること。東京オリンピックの開催上の都合だが、一方で昨年はコ
ロナ禍で見送りとなった非開催場での在厩調整が今年は認められる。札幌開催時は函館、逆に函館開催時は札幌での調整が可能というわけだ。
もっとも、GIII
函館スプリントS(13日=札幌芝1200メートル)は開幕週の施行とあって、東西トレセンから直接、札幌に入厩する馬がほとんど(登録馬のうち函館入りしたのは
カツジ、
シゲルピンクルビー、
センショウユウトの3頭だけ)。「調教にウッドが使える函館を利用したい」といった陣営の戦略が問われるのは、もう少し先の話になりそうだ。
記者が注目している
コントラチェックは2日に美浦で1週前追い切りを消化し、4日に札幌に向けて出発。藤沢和厩舎は通常の北海道(函館)開催時も1週前までにトレセンでしっかり馬をつくって、直前は現地でサラッと追うパターンで結果を出してきた。それは開催初っぱなが札幌になっても大きな差はないだろう。当の藤沢和調教師も「札幌スタートになっても(調整は)特に何も変わらないよ」とノープロブレムだと言い切る。
それよりも
コントラチェックの今回の一番のポイントは、前哨戦の
オーシャンSを快勝しながらも、
高松宮記念には駒を進めなかったことに尽きる。それも出走を目指しながらも、その過程で断念したのではなく、早々に回避を決めた。その理由について藤沢和調教師は「メンタルを考慮してのもの。間隔が詰まり過ぎたり、使い込んだりすると、どうしても結果が出ない馬だからね」と説明してくれた。
3歳時に
フラワーCと
ターコイズSと2つの重賞タイトルを手にした
コントラチェックだが、4歳時は勝ち星どころか、入着すらない低迷期が続いた。それだけに短距離路線に移行して3戦目だった前走でようやく結果を出した後は、GI挑戦よりも、何よりリフレッシュすることを最優先させたのだ。いわば先を見据えた戦略を選んだことになる。
「
ホーカーテンペストに始まり、
ムーンクエイクもそう。この血統は危なっかしい(気性の)馬が多いからな。間隔が詰まったりするとホントにダメなんだ。
コントラチェックの場合は早くから1200メートルの適性を感じていて、(2、3走前の)2回は変な競馬になってしまったけど、前走でいい勝ち方をしてくれた。今度は相手のレベルも上がるけど、この馬だって重賞を何個も勝っている馬だからな」
ちなみに師が口にした兄2頭はいずれもセン馬になっている。この一族の気性の難しさは想像に難くないが、だからこそ
コントラチェックの場合はその点を十分に考慮されて今回の出走に至っているわけだ。
今夏は次戦にGIII
キーンランドC(8月29日=札幌芝1200メートル)が視野に入る。一昨年のサ
マースプリントシリーズ王者で、かつ秋には
スプリンターズSを制するまでに至った同厩
タワーオブロンドンの快進撃の再現なるか。まずは
コントラチェックの函館SSの走りに注目してほしい。
(函館のイレブン野郎・立川敬太)
東京スポーツ