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【マーメイドS】藤懸が感無量の重賞初V 腹をくくった好騎乗でシャムロックヒル導く

デイリースポーツ
  • 2021年06月21日(月) 06時34分
 「マーメイドS・G3」(20日、阪神)

 2021年も波乱の決着となった。10番人気の伏兵シャムロックヒルが最軽量ハンデ50キロを生かして逃げ切り勝ち。デビュー11年目の藤懸と人馬そろっての重賞初V。19年覇者サラスとのきょうだい制覇を成し遂げた。2着に51キロを背負った5番人気のクラヴェルが入り、軽ハンデ馬のワンツー。1番人気のソフトフルートは8着に敗れた。

 苦節11年がついに実った。荒れる牝馬重賞を制したのは藤懸騎乗のシャムロックヒル。人馬ともにタイトル初奪取となった。

 戦前から逃げると決めていた鞍上に迷いはなかった。「長く脚を使うと思ったので、1枠1番が当たった時点でハナに行こうと決めていました」。絶妙なラップを刻み続けると、直線では並ばれてから二枚腰を発揮。最後は外から猛追するクラヴェル騎乗の横山典と顔を見合わせてゴールした。首差の接戦を制し「ずっと先頭だったので“何も来ないでくれ”と無我夢中だった。外と離れ過ぎていて分からなかったけど、(掲示板に)1着と上がっていて実感しました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 21年はオークスでG1初騎乗。16番人気のハギノピリナで3着に好走し、注目を浴びた。デビュー11年目を迎えても熱心な姿勢と、周囲への感謝の心は変わらない。「僕が重賞を勝つなんて誰も思っていないと思うけど、感謝の気持ちでいっぱいです」と笑顔がはじけた。佐々木師も「中途半端な競馬が一番嫌なんだ。行った時点でどん尻でもいいと思ったよ。気持ちがいいね」と声を弾ませ、腹をくくった騎乗をたたえた。

 この日は父の日。キズナがダービーを制した時と同じ1枠1番で、娘が最高の結果を出した。父も管理したトレーナーは「最後に盛り返したのはキズナの根性。キズナが父になって、僕にプレゼントしてくれたね」と表情を崩した。最も多くの産駒を預かり、最も勝ち星を挙げている中でも格別な1勝となった。次走については「クイーンS(8月1日・函館)に行こう」とその場で決断。ようやく花開いた人馬が、自信を胸に北の地へと歩みを進める。

提供:デイリースポーツ

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