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【クラスターC回顧】4コーナー内を突く好判断でリュウノユキナ/斎藤修

  • 2021年08月10日(火) 18時00分
 昨年、日本レコードで1、2着を争ったマテラスカイヒロシゲゴールドが出走してきたが、それぞれ5着、3着という結果。昨年とはまったく異なる馬場(砂)の状態が影響したかもしれない。勝ったのはホッカイドウ競馬出身で、6歳にして本格化といえるレースを見せていたリュウノユキナだった。

 盛岡のダートコースは、昨年の南部杯でもダート1600mの日本レコードを記録していたように、近年は超高速馬場だった。しかし今シーズンはかなり時計のかかる馬場になっていて、7月のマーキュリーCでもマスターフェンサーが連覇を果たしたが、勝ちタイムは昨年より2秒7も遅いもの。クラスターC当日も、前半の下級条件の勝ちタイムを見ると昨年より3秒以上かかっていて、クラスターCの勝ちタイムが昨年(1分8秒5)より2秒6遅い1分11秒1というのも、ある程度予想されたとおりだった。

 中央5頭が掲示板独占という結果も、地方馬はすべて単勝万馬券というオッズに示されていたとおり。機先を制したのは最内枠に入った地元のシークザトゥルースだったが、そのペースはグレード実績のない地元馬にとっては厳しいもので、3コーナー過ぎで失速してしまった。中央勢は、リュウノユキナ以外の4頭は逃げる可能性があったが、いずれも行く馬がいれば2、3番手に控える競馬もしており、枠なりの順番で3コーナーを回った。シークザトゥルースがつくったペースは前半3Fが34秒3で、中央同士の争いとなった後半は36秒8。中央5頭は、どの馬にも能力を発揮できる流れになった。

 4コーナーではサイクロトロンジャスティンが、ともに楽な手応えのまま併走する形で直線を向いた。そこで内を突いたのがリュウノユキナだった。東京スプリントでも前で競り合った3頭を見ながらレースを進め、直線外から抜け出したが、今回も柴田善臣騎手のコメントにもあるとおり、中央のほか4頭を前に見ながら楽にレースを運ぶことができた。4コーナー手前で進路を内に切り替えたときに勝ったと思える展開は、さすがベテランのファインプレーだった。

 サイクロトロンはオープン入りしての2戦がともに着外だったため、中央勢では唯一単勝オッズが10倍を超えていた(13.0倍)。ただ、千葉Sは自身とヒロシゲゴールドも含む4頭が前で競り合っての共倒れで、東京スプリントでもベストマッチョヒロシゲゴールドと競り合って失速。その2戦の厳しい流れは経験になったはず。それが今回は無理な競り合いにならず、別定増量がない54kgという斤量も生かされた。

 4コーナーではサイクロトロンジャスティンのうしろにいたヒロシゲゴールドがしぶとく伸びて3着。勝ったリュウノユキナから3馬身+2馬身という着差は、短距離戦としては決定的な差だが、盛岡ダートコースは能力差以上に着差が開くことが常で、その着差はコース特性ゆえと思われる。

 ジャスティンマテラスカイは、ともに勝つときは強いが、負けるときはあっさりというタイプ。今回は能力を発揮できなかった。

 ジャスティンは、直線を向いたあたりの手応えではそのまま突き抜けてもという感じだったが、直線の坂で脚が上がってしまった。他馬より3kg以上重い別定58kgという斤量は少なからず影響しただろう。さらに中東遠征の2戦で結果が出ず、芝の函館スプリントSで最下位という精神的なこともあったかもしれない。

 マテラスカイは、昨年は2番手からヒロシゲゴールドをとらえたが、今回外枠に入って5番手からでは持ち味が発揮できなかった。幾度に亘る中東遠征で世界の一流馬を相手に2着3回という実績から、タイムのかかる馬場になったからといって能力が発揮できないということもないと思うのだが、実際に重賞初制覇となった2018年のプロキオンSがダート1400mの日本レコードで、それ以降で勝ったのもやはりダート1200mの日本レコードとなった昨年のクラスターCだけということでは、やはり能力を発揮するのはダートのスピード決着なのかもしれない。

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