8日新潟の
レパードS(
メイショウムラクモ)で
JRA最年長重賞勝利記録を更新したかと思えば、翌日盛岡の
クラスターC(
リュウノユキナ)で2日連続の重賞勝ち。“時の人”
柴田善臣が美浦に現れると、方々から「おめでとう!」の声が上がる。余裕の笑顔で応える姿は、まさに千両役者。“競馬界の
ベストアクター”だ。
次々と関係者の祝福を受けるも、記録のことを聞かれると「年がバレる。もういいだろ」と冗談交じりに苦笑い。肉体的にも精神的にも、まだまだ若い55歳。本格的な夏の到来とともにギアをグンと上げてきた大ベテランは、好調を保ったまま
関屋記念に臨む。
11日にはコンビを組む
ベストアクターの最終追い切りにまたがり、坂路で
ヴィアメント(古馬3勝クラス)、
ネバーゴーンアウト(古馬2勝クラス)相手に4ハロン53.1-12.5秒で余裕の併入。久々を感じさせない動きを見せた。
柴田善は「リフレッシュして歩様が良くなった。先週、今週と乗ってこの馬なりにスムーズになっているからね。あがった時の息遣いが少し気になったけど、今日やったことで良くなるんじゃないかな。元気は良かったから」と手応え十分の様子だ。
昨年の
阪急杯で見事、重賞初制覇を果たしながらも…。その後は脚部不安で長期の戦線離脱を余儀なくされ、丸1年ぶりとなった今年の
阪急杯では16着に沈んだ。陣営は当初、次走に
京王杯SCを予定していたが、目標を変更。早めに厩舎に入れて、ここまでじっくり仕上げ直してきた。
鹿戸調教師は「時計的にはまずまず動けたし、脚元に関しても問題ない。前走は久々で流れに乗り切れなかったのが敗因。放牧を挟んで乗り込んでおり、前走よりは良くなっているし、乗り役が絶好調なのであやかりたい」と鞍上の手腕に期待を寄せている。
冷静に考えれば、好走を期待するには厳しい状況ではあるのだが…。それでも今の柴田善なら何かやってくれるのでは。そう期待せずにはいられない。
(美浦のあやかり野郎・垰野忠彦)
東京スポーツ