「(賞金的に)出られるの?」
先週木曜に、
新潟記念(5日=新潟芝外2000メートル)に出走予定の
プレシャスブルーの取材に行った時、真っ先に相沢調教師から出た言葉だ。「恐らく大丈夫だと思いますよ」と答えながらも、除外の不安が拭い切れなかったが…。登録馬18頭で全馬出走可能となり、トレーナーから聞いた“美味話”もお蔵入りとならずホッとした次第だ。
今年は
ビターエンダーが左後肢種子骨の骨折で休養、
ブラックホールが調教中に左浅趾屈腱脱位の故障で競走能力喪失となり引退。厩舎のエース格が相次いで離脱する中、7歳になっても厩舎の“番頭”として、奮闘する
プレシャスブルーの姿には毎回胸を打たれ、応援し続けている。しかも、2勝クラス以上で馬券になったのは全て6番人気以下と常に高配当をもたらしてくれる穴党にはありがたい使者でもある。
ただ、買い時が明確に判断しにくく、やみくもに毎レース購入している現状。何とか効率良く激走のタイミングを見極めたい。そんな思いで師に「いろいろなコースで好走していますが、ベストはどこでしょう」と尋ねてみた。すると「
新潟記念のコースが一番合うよ」と即答だ。
昨年は大敗(18着)している舞台だが、「あの時は、その前の
函館記念で大きく体を減らしてしまい(マイナス20キロ=9着)、その後も体が戻らず本調子を欠いていた。(同じ舞台の)
新潟大賞典では3着しているように、本来のデキなら時計がかかる新潟の外回りコースは合うんだ」。確かに3走前にも、今回と同舞台の
福島民報杯で不良馬場をものともせず、追い込んで11番人気2着に激走している。師の言葉に納得だ。
前走・
七夕賞については「福島コースで、前に行った馬がインを回って残る流れ。大外からでは厳しかった」。得意とはいえないコース、しかもかなり距離ロスがあった中での0秒3差(5着)なら、むしろ負けて強しの内容で衰えは全く感じられない。
となれば、あとは状態面。「去年の
新潟記念から半年以上、しっかり休ませたことで体が回復して、今もその状態を維持できているよ。ただ、暑さに強い馬ではないから、これ以上、暑くならないでほしい」。残暑さえ乗り切ればということだが、幸いなことに予報では、週央の美浦トレセン、そして週末の新潟競馬場ともに最高気温は30度を上回らない見込み。さらに予報通りの雨が新潟に降れば、この馬に最適な、程よく時計のかかる馬場でも臨めそうだ。
3戦続けて手綱を取る
柴田善臣は、先月の
レパードSで
JRA最年長重賞勝利記録を更新(55歳0か月10日)するなど今夏好調。実は
プレシャスブルー以外に相沢厩舎の馬に騎乗したのは、15年3月までさかのぼる“希少タッグ”なのだが、師は「本当は、彼とはすごく仲がいいんだよ。彼ぐらいのジョッキーなら何も言う必要はないし、今回も任せます」と全幅の信頼を寄せている。
キャリア豊富なベテランホース&ジョッキーがコンビ結成3戦目にして大激走というシーンを願いつつ、馬券を握りしめたい。
(相沢厩舎の追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ