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【ジャパンC】有終Vモードコントレイル プール調教でゲート対策も万全

東京スポーツ
  • 2021年11月24日(水) 18時01分
 1着賞金3億円をかけた国際決戦、第41回GIジャパンカップ(芝2400メートル)が28日の東京競馬場で決戦の火ぶたを切る。史上初となる4世代のダービー馬激突、17年以来となる3頭(以上)の外国馬参戦と話題豊富だが…。もっとも耳目を集めるのは昨年、史上3頭目の無敗3冠を達成したコントレイルのラストラン。全レース終了後にパドックで行われる引退式が「陽」となるのか「陰」となるのか…。陣営の懸命な調整を思えば、前者になるのは間違いなさそうだ。

 伝説の始まりはちょうど2年前だった。GIII(当時)東京スポーツ杯2歳Sで早め先頭から1分44秒5という驚がくのレコードV――。父ディープインパクト級の“衝撃走”を決めた時点で、翌年のクラシック候補筆頭として注目を集める存在となった。次走にGI朝日杯FSではなく、同ホープフルSを選んだ理由を当時、矢作調教師はこう話している。「中山の二千という条件が合っている印象は持てないが、来年を意識するうえでは経験しておくべきGI」。まだ能力の全容が見えない状況下で、勝ち負け以上にコースを経験する意義を唱えていたのだが…。このレースでコントレイルが出した答えは、優に100点超え。ただ、勝利するだけでなく、意外なほどに器用な立ち回りを見せ、余りにも余裕がありすぎたことで、直線で抜け出すとちゅうちょして内へ飛び込むような格好を見せたほどの完勝劇だった。

 怒とうの勢いで白星を並べ続けた翌20年のクラシック戦線は、世界中が新型コロナウイルス禍で社会生活に大きな影を落とし始めた一年。誰しもが見えない脅威との戦いを強いられた中、史上3頭目となる無敗の3冠を成し遂げたことで、いつしか明るい新時代の訪れを切望する日本の期待までも背負う存在となった。だからこそトレーナーは3冠達成時に「神様からの授かりものであると心の底から思いました」と万感の思いを漏らした。

 思えば初GIタイトルだったホープフルSは、GI有馬記念リスグラシューが有終の美を飾ってターフを去った直後。この時すでに、厩舎の大看板という“宿命”を継いでいたのかもしれない。

 様々な人の思いを乗せて走り続けてきたコントレイルのラストラン。華麗なる戦績の集大成にすべく、陣営はこの中間から新たな調整方法=プール調教を取り入れた。

「気分転換という意味もありますが、プールは狭い所にも入っていかなきゃならないですからね。ゲートでうるさいところも競馬でしか見せないんで効果のほどは分かりませんが、それで納得してくれるようなら。泳ぐ速さは普通くらいですけど(笑い)、やっぱり覚えは早くて頭のいい馬ですよね」と金羅助手。

 最終ランを前にしての新たなチャレンジ。その必要に迫られたのは、前走のGI天皇賞・秋(2着)で見せたゲート内でのバタつきに他ならない。

「前走でもよく走っているとは思うんですが、惜しまれるのは勝ち馬の位置が取れていれば、結果はどうなっていたかということ。ゲートの中でチャカチャカした分、少し出遅れたことが悔やまれます」(宮内助手)。いつも通りに馬に接しながらも、課題を克服すべく新たな調整を取り入れるあたりに厩舎のコントレイルへ対する感謝と、仕上げに悔いを残したくない思いがにじみ出ている。

 大きすぎる夢を背負い、疾走した2年強。スターホースを担当した濃密な時間を思えば、担当の金羅助手にとって、ラストランを前に胸に去来するものはあるに違いない。だが、思いはただひとつ。シンプルに“勝ってほしい”と願うだけだ。

大阪杯(3着)は馬場が合わなかったので仕方ないにせよ、前走でも上がりで33秒0の脚を使ってよく頑張っているとは思うんですけどねえ。でも今回は東京の2400メートルですから、ゲートがどうこうとは言い訳できません」。根底にあるのは父ディープインパクトに続いて無敗の2冠を達成した栄光のダービーの舞台で、決して負けることはできないプライドだ。

 暗い世相を吹き飛ばすさだめまでを背負い、時代を駆け抜けてきたコントレイルの最終章。史上初となる4世代ダービー馬の激突、16年ぶりの勝利を目指す3頭の外国馬…。様々なトピックスを持つ今年のジャパンカップだが、何よりも刮目すべき本題は、その走りに“光”を見いだしてきたファンに対して、コントレイルがどんな最終回答を出すかだ。

(石川吉行)

東京スポーツ

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