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【浦和記念回顧】早めのスパートでメイショウカズサが完封/斎藤修

  • 2021年11月24日(水) 18時00分
 水の浮く不良馬場の白山大賞典をコースレコードで制していたメイショウカズサが、重馬場となったここでも同じように危なげなく逃げ切って見せた。思えば重賞初勝利だったプロキオンSも雨の重馬場でレコード勝ち。足抜きのいいダートは合っているのだろう。

 スタートしてのダッシュがよかったのは隣のメイショウダジンだが、同馬主だからというわけでもないだろうが、道を譲られるようにメイショウカズサが予想通り逃げる形となった。レース中盤でペースを落として、1000m通過が63秒9というスローペース。勝因は、向正面中間から早めにペースアップしたこと。後続に早めから脚を使わせ、ヴェルテックスウェスタールンドら、直線切れ味勝負の馬たちの末脚を完璧に封じた。

「馬にやる気がないなかで、なんとか勝ってくれた」というメイショウカズサ川田将雅騎手のコメントが興味深い。ゲート入りからして嫌がり、なかなか入ろうとしなかった。後続を引き離して2周目の3〜4コーナーを回るときも、川田騎手は右の肩ムチを何度か入れながら慎重にコーナーを回っていたが、初めての左回りだったためか、馬にレースを教えているような感じにも見えた。それでいて危なげなく勝ってしまうのだから、着差以上に強かったということ。ただ勝つときは完勝だが、負けるときは大敗もあり、気分で走るところがあるのかもしれない。それにしても川田騎手ではこれで3戦3勝なので、川田騎手はそのあたりうまくコントロールできているのだろう。

 昨年、コンマ1秒差で4着だった地元のタービランスが今回も能力の高さを見せた。この馬も気性的に難しく、先頭に立つとレースをやめてしまうところがあり、それゆえ昨年までは着順に“2”が多かった。それでも今年になって、報知オールスターCや前走埼玉新聞栄冠賞ではゴール前で突き抜けるレースぶりも見せていた。ペースが上がった向正面から3コーナーでもう少しついて行ければ際どいレースになったと思えなくもないが、勝負どころで置かれてしまうのもこの馬の特徴。それでも直線では前に目標となる馬がいたため、直線しっかり伸びて2着争いを制した。

 前走オープン3着だったヴェルテックスを競り落とし、ウェスタールンドも振り切ったということでは、8歳でも中央オープン以上の能力はあるということ。それにしても今回の中央勢はGIII/JpnIII勝ち馬が2頭だけというやや手薄なメンバーで、タービランスにとってはダートグレード(しかもJpnII)を勝つには地元で千載一遇のチャンスだっただけに2着は残念だった。

 ヴェルテックスメイショウカズサの直後をぴたりと追走していたが、ペースアップされたところで差を広げられ、懸命に追ったが最後まで差を詰めることができなかった。流れ次第ということもあるだろうし、オープン入着までという能力差は埋められなかった。

 ウェスタールンドは昨年同様後方からの追走。能力差のあるメンバーもいる地方のダートグレードで、中央の有力馬が縦長の後方追走というのもめずらしい。今回は前述のとおり、メイショウカズサが早めのスパートで後続の末脚を封じる流れに持ち込んだことで、ウェスタールンドに向く展開にはならず。昨年はメンバー中最速の36秒1という上がりでハナ+アタマ差の3着という際どい勝負に持ち込んだが、今年はそれほどの切れも見られなかった。

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