若いころは暑さが苦手だったが、30代半ばに差し掛ると寒さの方が苦手になり、それとともに出無精となった。冬場はほとんど動かず食べてばかり。トレセンにいると親しい助手さんから「あれっ、太ったんじゃないの?」と痛いところを突かれることも多い。
一方、馬も冬場は体がなかなか絞り切れず、冬毛が目立って状態ひと息に見えてしまうことが多い。特に牝馬は夏場の暑い時季に調子を上げて、冬場は成績が冴えないというタイプが多いのだが、
マルターズディオサは12月〜3月上旬の寒い時季の重賞で【1200】。オール連対の好成績を残している、珍しい“冬女”。管理する手塚調教師もGIII
ターコイズS(18日)の1週前追い切り直後に大きな期待を口にしていた。
「春は状態ひと息で結果が出なかったけど、その時と比べると馬体の張り感が全然違う。
府中牝馬S(3着)は1800メートルをうまくこなしてくれたけど、その時よりも状態は良くなっているし、(調教に騎乗していた)辛口の嶋田もいいって言うぐらいだから、充実している」
さらに担当の中條厩務員に聞くと、ひと呼吸ためを入れた後、「すごくいいですよ」。満面の笑みで答えてくれた。続けて「以前は体質が弱いところもあったけど、今は調教やレース後もカイバをペロッと食べるようになった。それとともに体幹も強くなって、追い切りでノメったりせず、ブレることなく走れるようになりました。一段上がっている感じがします」。さらに「2、3歳のころは気性面でキツいところがあったけど、最近は調教後やレース前でも本当に落ち着いている。精神面で大人になってきたなと感じますね」と心身ともに充実期を迎えているのがビシビシ伝わってくる。
「気持ちで走るタイプだから、フレッシュな方がいいですね」と語る通り、2か月以上間隔が空いていた時は【2202】の好成績。今回の2か月ぶりのローテーションもばっちりだ。
今回と同舞台だった2走前の
京成杯AHは出遅れが響き8着だったが、手塚師は「ゲートで近くの馬がうるさくなって、それを気にしたところがあった。今回はゲートの練習もしてきた」。とあれば、充実一途の今回はスタートもしっかり決めて、“冬女”の本領を発揮してくれると信じている。
(美浦の冬眠野郎・松井中央)
東京スポーツ