スマートフォン版へ

【兵庫ゴールドトロフィー回顧】計算しつくしたように差し切ったテイエムサウスダン/斎藤修

  • 2021年12月23日(木) 18時00分
 ハンデ戦でも重量を背負った実績馬の活躍が目立つレースだが、今年もそのような結果になった。とはいえ大いに見せ場をつくった地元期待の3歳馬、イグナイターが主役だったといってもいいかもしれない。

 イグナイターがハナを主張し、ヒロシゲゴールドがかかり気味にぴたりと2番手。昨年大きく躓いて最後方からとなったラプタスだが、今年も前脚を滑らすようなスタート。それでもすぐに立て直してダッシュをきかせ、行ければ行こうというような勢い。しかし一瞬の遅れと枠順もあって無理せず3番手に落ち着いた。先行3頭は枠順なりの隊列となった。

 イグナイターの行き脚は快調で、向正面では楽な手ごたえのまま後続との差を広げた。前半かかり気味だったヒロシゲゴールドは3コーナーを迎える前に失速。代わって3コーナー過ぎではラプタスイグナイターをとらえにかかった。4コーナーを回って、イグナイターがもう一度差を広げたときはそのまま逃げ切るかにも思えた。しかしそうは甘くなく、ラプタスがとらえにかかったところ、満を持して仕掛けてきたテイエムサウスダンがまとめて差し切った。

 それにしてもテイエムサウスダン岩田康誠騎手の落ち着いた騎乗ぶりは見事。快調に逃げていたイグナイターをみずからは負かしにいかず、ラプタスを先に行かせ、そして差し切るところなどは、まるで計算しつくされたような勝ち方だった。ラプタスとは1馬身差だが、着差以上の完勝だった。

 ラプタスも、テイエムサウスダンより1kg重いトップハンデ59kgだったことや、イグナイターに鈴をつけに行った展開的なことを考えれば能力は発揮した。

 テイエムサウスダンラプタスは、これでともに獲得したタイトルは地方のコーナー4つの1400mで4勝ずつ。前者は未勝利勝ちが1200mだったが、その後の7勝は中央も含めてすべてダート1400m。後者は全9勝がすべてダート1400m。1歳違いのこの2頭は、今後もこの路線の主役としてしのぎを削っていくことになるのだろう。そう考えると、あらためて金沢1400mのJBCスプリントでこの2頭のレースぶりが見たかった。来年のJBCスプリントは盛岡1200mとなるだけに、GI/JpnIタイトルを獲ろうと思えば、200mの距離短縮もしくは延長に対応する必要がありそう。

 イグナイターの3着は、関係者にとっては悔しかっただろうが、地方の3歳馬が古馬相手のダートグレードでということを考えれば大健闘といっていい。前半はヒロシゲゴールドに突かれ、入れ替わるようにラプタスが迫ってきて息を入れられる場面がなく、ゴール前はさすがに一杯になったが、それでも大きくバテることはなかった。一線級相手の厳しいペースの経験は今後に生かされるはず。年明け、黒船賞かきつばた記念を目指すということであれば、今回の2強との再戦となるのだろうが、4歳になっての上積みがあれば逆転も期待したい。

 そして4着のワイドファラオまで人気順の決着。向正面からテイエムサウスダンを追いかけるように進出したが、先行勢をとらえるまでには至らず。地方の1400mでは浦和で2着、3着があったように、この距離でも対応はできるが、展開やペース次第ということはありそう。それゆえ善戦までというレースが多い。

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す