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【シンザン記念】ビーアストニッシドが飯田雄調教師を18年ぶりクラシックへと誘う/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2022年01月07日(金) 20時20分
 例年以上に将来を嘱望される才能が集まった昨年のGIII京都2歳S。2020年セレクトセールの落札価格1億9000万円が話題をさらった良血馬フィデルに加え、トゥデイイズザデイキャンデセントと2頭のディープインパクト産駒も参戦し、これらは当然のように上位人気に推されたのだが…。

 そうは問屋が卸さないのが2歳戦の難しいところ。フィデルは何とか3着には来たものの、ディープ産駒2頭は全く見せ場をつくれずに着外に沈んだ。

 レースを制したのは5番人気のジャスティンロック。出遅れながらもスムーズにリカバリーして最後は3頭の追い比べを制する見事な勝ちっぷりだったが、それ以上に強く印象付けられたのは逃げて0秒1差の2着に粘り込んだビーアストニッシドのしぶとさだ。9番人気の低評価を覆す走りで賞金加算に成功し、春のクラシック戦線へ名乗りを上げた。

「パドックからテンションが高くて、地下馬道でもかなりうるさかったんだけどね。ゲートではおとなしく、スンナリ出てくれた。それまで1600メートルしか使っていなかったから距離が持つかどうかだったけど、乗り役(岩田康)がコーナー4つでうまく息を入れながら運んでくれた。まだ幼さが残る中でよく頑張ってくれたよ」

 飯田雄調教師がそう振り返った通り、道中は物見が激しく、時には左右にフラつきながらの競馬でも、ゴール寸前まで先頭を譲らなかった粘り強さは今後の伸びシロの大きさを感じさせるものだった。

 近親に「ダート界の雄」ブルーコンコルドがいる血統ながら、「走るフォームが良かったため」デビュー戦は芝1600メートルを選択。その血統背景ゆえか、10番人気の低評価に甘んじたが、0秒2差3着に健闘。

 同じく芝1600メートルの次戦で順当に勝ち上がり、前走も前述通り、強敵相手に互角以上に渡り合ってみせた。そして迎えるのがこのGIIIシンザン記念(9日、中京芝1600メートル)。今後を占う意味でも、ここが重要な試金石となる。

 岩田康が騎乗した4日の最終追い切りは栗東ウッドで併せ馬の予定が、前半から行きたがって併せる形にならない誤算。それでもラスト1ハロン11.9秒をマークした直線の脚はさすが。折り合いに課題は残したものの、もはやポテンシャルの高さは疑いようがない。

「普段はおとなしい馬で手もかからないんだけど、テンションが上がる時があるからね。状態自体はいいから折り合えていれば、もっとタイムは出たはず。まあ、まだまだ成長途上だね」と飯田雄調教師の評価は辛めだったが…。

 実は飯田雄厩舎がクラシックに管理馬を送り込んだ最新例は04年皐月賞ミスティックエイジ(5着)までさかのぼらなければならない。GIII格付け前の京都2歳Sを勝ち、続くGIIIラジオたんぱ杯2歳S(ホープフルSの前身)で2着。皐月賞でも掲示板を確保した素質馬を「血統(父サンデーサイレンス)が良かったし、馬体もあか抜けていた。

 屈腱炎で長く休まざるを得なかったのが残念だったけど、本当に能力の高い馬だった」と懐かしそうに振り返ったトレーナー。現状のビーアストニッシドとの比較では「貫禄が全然違うよ」と笑っていたが、18年ぶりのクラシック出走に向けて内心、大いに期待していることだけは間違いないだろう。

(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

東京スポーツ

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