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風を読めば的中率アップ!?競馬と風について取材してみた

デイリースポーツ
  • 2022年01月25日(火) 18時15分
 皆さんは競馬と風について、考えたことはあるだろうか?以前、高野友和調教師(45)=栗東=が、「スピードスケートや競輪とか、風の影響を受けるスポーツは多いですし、競馬も関係あると思うんですよね」と話していたのを紙面のコラムで取り上げたところ、反響があったので、このテーマを掘り下げたくなった。

 確かにスポーツの世界では、特に屋外の場合、風の影響は無視できない。以前担当していたサッカーでも、関係者から「強風だと戦い方が変わる」という趣旨の話を聞いたことがある。ゴルフや野球、スキーのジャンプなど、風と上手に付き合うべき競技は多い。

 では、競馬は実際どうなのか。名手・武豊騎手を直撃した。「知り合いの競輪選手にもよく聞かれるんだけど、正直、風が強いから乗り方を変えるということはないかな。ただ、風でペースを計っているから強風のときは惑わされないようにしているね」。馬上で感じる風で的確にペース判断ができるというのは、名手の名手たるゆえんだろう。少なくとも風は意識する要素の一つではあるようだ。

 昨年キャリアハイの130勝を挙げ、全国リーディング3位となった松山弘平騎手。彼の場合、「強い向かい風だと明らかにスピードが遅いと感じるときはありますね。馬群で競馬した方がいいと思うこともありますが、それも馬によります。まずはスムーズに走らせることを優先し、その上で、という感じです」と、あくまでも馬に添った形で組み立てるのだという。

 「直線が向かい風だと追い込みが利きにくい」と話していたのは藤岡康太騎手だ。普段なら届く感覚で追いだしても、スピードが上がり切らず、前残りを許すケースもあるとのこと。「馬場状態がいいのに時計がかかるときなどは、風の影響が大きいと感じますね。馬に応じて、影響は考慮して競馬はしています」と教えてくれた。

 太宰啓介騎手は「馬のリズムが大事ですが、横風はそのリズムが崩れやすいので意識することはありますね」と道中の運び方を工夫するケースもあるとのこと。和田竜二騎手は「向かい風とかだと、気持ち(自分の)姿勢を低くすることはあるかな」と騎乗フォームを風の抵抗を受けにくい“強風仕様”に変えることもあるそうだ。

 「コーナー4つのレースだと全方向に向かって競馬しますからね。ただ、追い風、向かい風、横風であおられるようなときは意識したりします」と語っていた藤岡佑介騎手の見解も、興味深かった。

 「風とか雨とか、そういう悪条件が重なると、馬は慎重になりやすい動物なので、トップギアに入りにくいときがあります。そうなると、前に行っている方が有利ですね」

 直線で各馬が本来の末脚を繰り出せない場合、先行馬が序盤に奪ったリードがものを言うという考え方だ。

 競馬と風の関係。取材をすればするほど、面白く、想像以上に奥が深かった。藤岡佑介騎手からは「ぜひ、風の影響を数値化、データ化してくださいよ」という提言もあった。競馬で吹く風の向き、その強さが全レースで記録として残れば、風の適性が高い血統や、馬体重別の成績などに明らかな傾向が出るかもしれない。予想の重要なファクターにもなり得るだろう。

 ジョッキーの心理面や、戦略にも影響を及ぼすケースがある「風」。意識して予想すると、的中率はさらに上がる!?かもしれない。今後も競馬と風について取材や研究を続け、発信していければと考えている。じっくり考察するきっかけを与えてくれた高野調教師には、この場を借りて厚く御礼を申し上げたい。

(デイリースポーツ・大西修平)

提供:デイリースポーツ

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