関東圏の競馬は今週から東京に舞台を移し、3歳世代の新馬戦が行われるのは当1回東京開催終了まで(関西圏は1回阪神2週目)。早期デビューがクラシック戦線における必勝パターンとなっている昨今の流れからすると、この時期のデビューでクラシックへ間に合わせるのは少々厳しいかもしれないが、特筆すべき好素材はまだまだいる。当欄の推しは
ブラーバック(牝=父
ロードカナロア・大竹)だ。
母ルージュバックはデビューから無傷の3連勝で
きさらぎ賞を制し、
桜花賞(9着)、
オークス(2着)といずれも1番人気に支持されたほど。最終的に重賞4勝を挙げた名牝だ。競りに出された半弟の
ポタジェ、
テンカハルがいずれもミリオンホースとして取引されたことも、この血統が持つ魅力と期待値の高さの証明となろう。そんな母の初子
ブラーバックが日曜(30日)の東京芝1800メートル新馬戦でいよいよベールを脱ぐ。
これだけの血統馬だけに早い段階から注目されていたのは言うまでもなかろう。本紙が毎年春に発行している「
ザッツPOG」での取材時、大竹調教師は「母も今の時期は硬さがあって、夏になってからグングンと良くなりましたからね。初子で小ぶりですし、じっくり育てたい」とコメント。遅いデビューはいわば“既定路線”で、アク
シデント等によって、ここまでズレ込んだわけではないことをまず強調しておきたい。
「(追い切りを)やると硬くなるところは母と同じだったので、ゆっくり調整していこうと。ただ入厩してからのカイバ食いが良く、初子でも馬体重は母よりも20キロくらい大きくなった。最初は小さく感じましたけど、今はそのイメージも全くないですね」
2歳9月のデビューだった
ルージュバックの馬体重は456キロ。
ブラーバックは470キロほどでのデビューを見込んでおり、一般的に初子は小さく出ることを考えれば、十分に恵まれた体格と言えようか。
20日の南ウッドでは6ハロン82.3-12.2秒をマークして古馬1勝クラスと併入。騎乗した嶋田(レースはルメール)も「まだ余裕がありましたし、(追えば)時計はもっと出そうでした。いい背中をしていて、乗りやすく、操縦性が高い。
ルージュバックに乗ったことはないんですけど、みんなからそっくりだと言われます」と好感触だ。
母ルージュバックといえば、前脚を高く上げて叩きつける、躍動感に満ちた独特のフォームが特徴的だった馬。大竹調教師は「物差しがどうしても母になってしまいますが、馬体と走り方は似ています。“馬じゃないのでは?(笑い)”と思わせるほど(前脚を上げるフォームが)そっくりですね。もちろん、走り方が似ているのはいいほうにとらえています」
デビュー時期に限れば同世代に後れを取った
ブラーバックだが、追い付き、追い越せる時間がないわけではない。母譲りの豪快なフットワークで、自身の道を切り開いていってほしい。
(立川敬太)
東京スポーツ