北京五輪でのロコ・
ソラーレの活躍に触発されて、記者も
カーリングに興味が湧いてきた。試しに家にあった「
クイックル○イパー」の棒で床をスイープしてみると、これがなかなかの重労働。少しガーっとやっただけで、想像以上に息が上がってしまった。実際の競技ではこれをストーンの動きに合わせてやるのだから、もっと大変なのは容易に想像がつく。「これを続けたら筋肉がつくだけじゃなく、体の
バランスも鍛えられそう」と肩でゼェゼェ息をしながら思った次第だ。
体の
バランスが大事なのは競走馬も同じ。単に走りが良くなるだけでなく、「折り合いにも関わってくる」のだという。「折り合い」に関して記者は、馬が気難しさを出したり、距離やペースが合わなかった時にひっかかるといったイメージしか持っていなかった。しかし、馬術出身の関係者に話を聞くと…。
「例えば自転車をイメージしてみてください。フレームだったり、ホイールだったり、どこかがゆがんでガタガタしているのに、ペダルをこぐ出力はいつもと変わらない。そうなったら運転しにくいですよね。馬の
バランスを整えるのも、それと似た感覚だと思います」
なるほど。体の
バランスが折り合いにも影響することがよく分かる名解説ではないか。
GIII
阪急杯(27日=阪神芝内1400メートル)に出走する
トゥラヴェスーラも以前は折り合いに課題を抱える馬だった。「気性と体の
バランス、両方が関係していたと思います」と振り返るのは高橋康調教師。ゆえに4戦目以降は1200メートルを中心に使われてきたわけだが、前走のGII京王杯ス
プリングCでは初めての1400メートル出走にもかかわらず、道中で力むことなく脚をため、最速上がり32秒5の鬼脚でクビ差2着まで差し込んでみせた。
「以前から調教役の助手が左右前後の
バランスを意識した調整をずっとやってくれていましたから。腰の周辺に筋肉がついて丸みが出てきたことも、
バランスの改善につながっていますね。フォームが良くなってきたことで以前より調教でやれることも増えてきました」
振り返れば、2走前のス
プリント頂上決戦・
高松宮記念でも0秒2差4着と大善戦。2桁人気を覆す近2戦の連続激走は、地道な日々の積み重ねが実を結びつつあることを雄弁に示している。
とはいえ、今回は9か月半の休み明け。常識的には狙いづらいところだが、「体には銭形が出ていますし、状態はいいと思います」と高橋康師がキッパリと言い切ってくれたとなれば…。
若いころには骨折で実に1年以上の休養を強いられたこともある
トゥラヴェスーラ。さまざまな苦難を乗り越え、成長を遂げた7歳馬が、待望の金メダルをつかみ取る――。オリンピックが終わっても、今週もまた熱いシーンを目撃できることを大いに期待したい。
(栗東の馼王野郎・西谷哲生)
東京スポーツ