田辺騎手のコメントのトーンはやや辛口な部類に入る。
スプリングS(20日、中山芝内1800メートル)に出走する
アサヒの1週前追い切り時も第一声は「最後もうひと伸びしてもいいかなと思ったんだけど」。このように慎重な語り口だった。
ただ、「ハロー明けからだいぶ時間がたっていて、ウッドコースの状態が悪かった。そのせいか、馬が少し走りにくそうな感じだった。それでも1回使っているので息遣いは良くなっている」とフォローを入れたあたりは、脈ありと読める。
加山助手も「元々チップの追い切りでは、そこまで目立つタイプではないですからね。前走の最終追い切りでも重い馬場に脚を取られていましたから。ジョッキーは、この馬に対して求めているものが高いから、少し慎重に聞こえたのかもしれないですけど、今回も馬場が荒れていた時間帯でラスト11.5秒。前走から確実に状態アップは感じます」。上々の手応えだ。
その前走(
共同通信杯5着)について田辺は「ゲート(出遅れ)が大きかった。気性的に燃えやすいところがあるので、気を付けて乗せてもらっていましたが、オンオフがはっきりし過ぎて…。前回は落ち着き過ぎた時にゲートが開いてしまって」と振り返る。
今回もスタートは大きなカギになるが、加山助手は「デビュー2戦目の時も約3か月ぶりでしたけど出遅れて行き脚がつかずに大外を回すロスの多い競馬。前走も久々の影響があったと思います。連続して使った3走目は普通に出てくれたし、東スポ杯もちゃんと出ているように出遅れ癖がある馬ではないですからね」。
続けて「気性の激しさは持ち合わせているけど、それはこの馬のいい部分でもあるし、未勝利勝ち直後の東スポ杯で2着したように、力はある馬。中山も問題ないので、普通に競馬できれば」。その口ぶりから期待の高さが十分うかがえる。
「能力はすごく感じている馬ですから」
取材の最後には田辺の口から
ポジティブ・ワードが飛び出した。再び
アサヒ(陽)が輝きを放つのは間違いないと思っている。
(美浦の田辺追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ