まずは何と言っても2400mという距離でしょうね。ほとんど全馬にとって未知の距離となるだけに距離適性が一番に注目されることになる優駿牝馬(
オークス)。とは言っても実際には“2400mに出走経験がある”からと言ってそれが理由で1番人気になったりはしませんし、数少ない2400m経験を持つ
オークス出走馬は、そのほとんどが10番人気以下という状態です。
サンプルが少ないのでそういったことにもなるのでしょうが、
オークスでは2400mでの実績よりも、なぜか2000mや1800mでの実績が注視される傾向にあります。しかしそれらの距離実績にしても、データ的にはまったくアドバンテージにはなっていません。
2000mや1800mを使われた馬の多くは
桜花賞戦線からこぼれてしまった存在であり、牝馬クラシック戦線は強い馬、順調に使われている馬ほど1600m以外の距離を走る必要がないという番組構成になっているからです。実は
オークスにはそういった距離実績より、もっと注視すべきポイントが存在します。
驚くほど簡単な話なのですが、
オークスで重要なのは前走の着順よりも、前走の人気であるという意外な事実。少なくとも前走2番人気以内、前走が
桜花賞なら多少条件を緩めて5番人気以内に支持されていないような馬は、
オークスでは相当厳しいというデータが出ているのです。
■
オークス出走馬の前走人気別成績
2人気内 143戦【19-12-9-103】勝率13% 単勝回収112%
3人気下 195戦【1-6-10-178】勝率1% 単勝回収 6%
合計 338戦【20-18-19-281】勝率6% 単勝回収51%
※
桜花賞は5番人気以内。
※現在のコース設定になった2003年以降。
※2010年は
アパパネ、
サンテミリオン1着同着。
つまり
桜花賞までに形成された評価(人気)は、おおむね正しいということでしょう。(現在のコース設定になった)過去19年で195戦1勝。その中には2006年
キストゥヘヴン、2008年
レジネッタ、2013年
アユサン、2017年
レーヌミノルといった4頭の
桜花賞(GI)馬や、10頭の
フローラS(G2)勝ち馬、7頭の
スイートピーS(OP)勝ち馬と5頭の
忘れな草賞(OP)勝ち馬も含まれています。それでいて
オークスを勝てた馬は、2007年
ローブデコルテ(前走
桜花賞9番人気4着)1頭だけという状態。この195戦1勝は絶望的な数字と考えても良いのではないでしょうか。
ここが
オークス予想のスタート地点。繰り返しになりますが、
桜花賞までに形成された評価(人気)は、おおむね正しいということです。ちなみに今年の出走馬で、前走2番人気以内(
桜花賞なら5番人気以内)だった馬は下記の6頭しかおらず、このデータだけでかなり絞れてきたという印象がありますね。
■2022年
オークス出走馬、前走2番人気以内(
桜花賞なら5番人気以内)
アートハウス 前走1番人気
ウォーターナビレラ 前走3番人気(
桜花賞)
サークルオブライフ 前走2番人気(
桜花賞)
スタニングローズ 前走2番人気
ナミュール 前走1番人気(
桜花賞)
プレサージュリフト 前走4番人気(
桜花賞)
■2022年
オークス出走馬、前走3番人気以下(
桜花賞なら5番人気以下)
エリカヴィータ 前走5番人気
サウンドビバーチェ 前走8番人気
シーグラス 前走6番人気
スターズオンアース 前走7番人気
ニシノラブウインク 前走9番人気
パーソナルハイ 前走4番人気
ピンハイ 前走13番人気
ベルクレスタ 前走9番人気
ホウオウバニラ 前走7番人気
ライラック 前走10番人気
ラブパイロー 前走7番人気
ルージュエヴァイユ 前走3番人気
闇雲にデータだけを見るのではなく、まずは仮説を立てて、そこから裏付けとしてのデータ・リサーチ。
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで
オークスを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文・岡村信将)