今週からいよいよ夏の北海道シリーズが開幕する。振り返れば、東京五輪開催にコ
ロナ禍の混乱が生じた影響で、一昨年は札幌開催時の函館競馬場が閉鎖、そして昨年は従来の函館開催スタートではなく、札幌からの変則日程に…。
通常通りの北海道開催を迎えるのは実に3年ぶりとなる。レギュラー進行の効果はやはり絶大で、5月19日の馬場開場以降、函館競馬場には続々と早期デビューを見据えた2歳馬が集結。開幕週からレベルの高い熱戦が繰り広げられることになりそうだ。
中でも注目は2日目(12日)の芝1200メートル。今年の
日本ダービーを制した
ドウデュースのオーナーでもあるキーファーズの松島正昭代表が設立した愛馬会法人インゼルサラブレッドクラブが所有する
クリダーム(牡=
父ハーツクライ、
母ブーケトウショウ・須貝)がここでデビューを迎える。
栗東で4月中旬から乗り込みを開始し、満を持しての函館入り。1週前のウッド併せ馬では古馬1勝クラス相手に半馬身差に食らいつき、十分な仕上がりと素質の高さをアピールしてみせた。
「馬っぷりがいいし、ジョッキー(追い切りに騎乗した川島)も“ムチにしっかり反応していた”と言っていましたからね。栗東から乗り込んで、ここまで問題なくきている。初戦から好勝負になると思いますよ」と北村助手も好感触だ。
とはいえ、
ハーツクライ産駒が1200メートルでデビューすることに違和感を覚える方もいようか。イメージ的には距離不足にも思えるが…。
「母系が短距離志向(母
父サクラバクシンオー)だし、栗東の追い切りで(武)豊さんが騎乗した際に“1200メートルでも大丈夫”とお墨付きをもらっているので心配していません」と北村助手。そして自信の笑みを浮かべながら「それよりも豊さんと須貝厩舎の新馬戦での好相性に注目してください」と言葉を続けた。
早速チェックしてみると2019年が3戦2勝、そして20、21年が2戦1勝と確かに抜群の相性。
武豊騎乗で初陣を制して
函館2歳Sへ──。陣営の青写真はすでに出来上がっている。
一方、この
クリダームの最大のラ
イバルになりそうなのが
エリカキルシェ(牝=父
マインドユアビスケッツ、
母ゴルトキルシェ・宮田)である。美浦調整時から動きの良さが目を引いた馬で、他厩舎の2歳新馬を相手にした1週前のウッド併せ馬では楽々と3馬身の先着。ちなみに父は
ドバイゴールデンシャヒーンを連覇(17、18年)した米国の名ス
プリンターだ。
「いかにも新馬向きといった感じのスピードがあります。若干硬めの走りをするので、いずれはダート路線にいくことになるかもしれませんが、短距離がいいのは間違いないですし、洋芝でこの時期の新馬戦なら問題ないのではないでしょうか。ゲートも速いですからね」(沢井助手)
クリダームVS
エリカキルシェ。両馬の激突が今夏の函館開催ハイレベル新馬戦を象徴することになるのではないか。
(立川敬太)
東京スポーツ