上半期を締めくくる「春の
グランプリ」。過去10年で1〜3番人気は7勝2着3回3着3回。1番人気に限れば3勝2着2回3着1回。直線が短い内回りコースが使用されるうえに梅雨時で馬場コンディションも不安定。おまけにシーズン末期に行われるレースだけあって、定量戦で行われる古馬GI競走ということを考えれば、やや波乱傾向だが、過去10年の勝馬中8頭が前走でGIレースを経験している馬たち。「格」も無視できないレースだ。
◎
ディープボンドは
天皇賞・春2着2回、
有馬記念2着1回。3歳時は
コントレイルの陰に隠れるような存在だったが、今では現役屈指の実力馬に成長した。成績だけを見ればステイヤーだが、祖母が東京
3歳優駿牝馬2着馬で、
キングヘイロー産駒の母は先行力を武器に芝の1200・1600、ダート1800mで1勝ずつ。
ヘニーヒューズ産駒の半兄
ダンケシェーンはダート短距離で3勝。これまで
ディープボンドが積み上げてきた実績には敬意しかなく、それを踏まえた上でも3000m級より中距離でパフォーマンスを上げてくる可能性を否定できない。昨年の
有馬記念でも逃げた
パンサラッサを交わして先頭に立った
タイトルホルダーに鈴を付けに行ったのはこの馬だった。
〇
デアリングタクトは三冠牝馬。脚部不安によって1年間を棒に振ったのち、前走の
ヴィクトリアマイルは22kg増の馬体重で出走し、0.5秒差6着だった。淀みなく流れる東京マイルは休み明けの馬には厳しかったはずで、内容的には十分合格点が与えられるものだった。阪神コースの重馬場は
桜花賞で経験済み。3歳時の
ジャパンカップ、あるいは香港の
クイーンエリザベス2世カップの内容から距離延長は有利のはずだ。
▲
ヒシイグアスは
中山金杯、そして
中山記念優勝馬。昨年末の
香港カップは2着で、前走の
大阪杯は勝った
ポタジェから0.3秒差4着だった。使える脚が短い印象なので長い直線コースよりも直線の短い内回りコース向き。2200mの距離は初めてだが、
ハーツクライの産駒で全6勝を1800〜2000mで記録しているのだから大きなマイナスになることはないはずだ。
D.レーン騎手がどんな位置でレースを進めるのかも興味深い。
△
タイトルホルダーは
菊花賞、そして
天皇賞・春優勝馬。これまでの実績が示すとおりに長距離レースでのスタミナ比べには絶大な自信を持っている。今回はマイペースで行けるかどうかがポイントになりそうだが、重馬場は間違いなく上手いはず。
△
エフフォーリアは昨年の
年度代表馬。デビューから完璧なレースを続けて
皐月賞も、
天皇賞・秋も
有馬記念も勝っただけに前走の大敗には首をひねるばかり。関西圏への輸送も2度目なので巻き返しを期待したい。
最後に、海外を転戦してきた△
オーソリティの名前を挙げておく。