6月29日に
大井競馬場で行われる
帝王賞(4歳上・JpnI・ダ2000m)。昨年の同競走でGI級競走初制覇を果たした後に
JRA最優秀ダートホースの座に登り詰めた
テーオーケインズや、
東京大賞典4連覇後に引退を撤回し現役を続行している
オメガパフューム、世界最高峰のレース・ドバイワールドCで2年連続の好走を見せた
チュウワウィザードなど、9頭の精鋭が揃った。今回は出走各馬のプロフィールをおさらいしていく。
■1枠1番
スワーヴアラミス(牡7、栗東・
須貝尚介厩舎)
父ハーツクライ、母はカナダで重賞2勝の
ベイトゥベイ、母の父
Sligo Bayという血統。2020年
マーチS(GIII)、2021年
エルムS(GIII)、2022年
東海S(GII)の覇者。
2019年9月に6馬身差の圧勝でOP入りを果たし、コンスタントにダート重賞路線に顔を出している。59kgの斤量を背負った
大沼S(L)でも好走しており、タフにレースをこなす叩き良化型。馬齢を重ねてもなお能力は健在で、今年の
東海Sでは中京巧者
オーヴェルニュを上がり最速タイの末脚で捉え切って見せた。昨年3月以降、松田大作騎手が一貫して手綱を執っており、人馬ともにJpnI初制覇がかかる。
■2枠2番
オメガパフューム(牡7、栗東・
安田翔伍厩舎)
父スウェプトオーヴァーボード、
母オメガフレグランス、母の
父ゴールドアリュールという血統。2019年の同レース覇者。3歳時に古馬混合重賞の
シリウスS(GIII)を制し、同年の
東京大賞典(GI)を勝利。以降、ダート界の最前線を牽引する存在となり、前人未到の
東京大賞典4連覇を達成した。同一GI競走の4連覇は日本競馬の歴史上初めての快挙である。
当初はレックススタッドで種牡馬入り予定だったが、急遽方針転換し現役を続行。復帰戦の
アンタレスS(GIII)では59kgの斤量をものともせず差し切り勝ちを収めている。鞍上は主戦・
M.デムーロ騎手を予定。
■3枠3番
ノンコノユメ(セ10、大井・
荒山勝徳厩舎)
父トワイニング、
母ノンコ、母の
父アグネスタキオンという血統。2015年のJDDで同世代の強敵
クロスクリーガーを下しGI級競走を初制覇。その後勝ちきれないレースが続き、2016年の夏に去勢されセン馬となる。しかし2018年の
根岸S(GIII)で復活の重賞制覇を果たすと、続く
フェブラリーS(GI)でも持ち前の切れ味を活かして中央GI初制覇を飾った。
2019年に
JRAから大井競馬へ転厩。その後は南関東の一線級で戦っている。地方転入後も交流競走で活躍し、2019年の
東京大賞典で2着、昨年の同レースでも2着の実績を持っている。鞍上は引き続き、
真島大輔騎手を予定。
■4枠4番
ネオブレイブ(牡6、大井・
米田英世厩舎)
父
フリオーソ、
母スズノメガミ、母の
父ワイルドラッシュという血統。2018年10月に
JRA所属でデビュー。ダートのマイル戦、中距離戦で勝ち星を重ね、2020年10月に
赤富士S(ダ2100m)で後方一気の差し切りを見せ、OP入りを果たした。
道中最後方で構え、直線でスパートをかける追込型で、堅実な末脚が武器。これまで挙げた4勝はいずれも後方から直線上がり3F最速の末脚を繰り出しての差し切り勝ちである。父は船橋競馬所属ながら中央所属の強豪たちと渡り合い、数々のJpnI勝ちを重ねた地方の英雄。地方転入5戦目となる今回、中央の一線級との戦いに挑む。鞍上は
笹川翼騎手。
■5枠5番
オーヴェルニュ(牡6、栗東・
西村真幸厩舎)
父
スマートファルコン、
母ギュイエンヌ、母の
父タニノギムレットという血統。2021年1月の
東海S(GII)、同年5月の
平安S(GIII)を制した中京巧者(※
平安Sは中京開催)。特に
平安Sでは後続に6馬身差をつける圧勝で、勝ち時計1分54秒7は圧巻のレコードタイムだった。父
スマートファルコンにとっては2022年6月現在、唯一
JRA重賞を制した産駒である。
中京での実績が目立つ当馬だが、決して左回り一辺倒というわけではなく、阪神や福島、京都でも勝利を挙げている。重馬場・不良馬場でのパフォーマンスが目立っており、スピード能力はいまだ健在。精鋭揃いの大舞台でJpnI初制覇を狙う。鞍上は
福永祐一騎手。
■6枠6番
チュウワウィザード(牡7、栗東・
大久保龍志厩舎)
父キングカメハメハ、
母チュウワブロッサム、母の
父デュランダルという血統。2018年2月のデビュー以来、安定した成績で順調にクラスを上げていき、同年12月の
名古屋グランプリ(JpnII)で重賞初制覇。翌2019年の
JBCクラシック(JpnI)でGI級競走初制覇を挙げ、さらに翌2020年には
川崎記念(JpnI)、
チャンピオンズC(GI)を制し、2020年の
JRA最優秀ダートホースに輝いた。
名馬を数多く輩出した一族の出身で、同世代の従兄弟に2018年の
JRA最優秀ダートホースを受賞した
ルヴァンスレーヴがいる。今年1月には圧倒的支持に応えるかたちで
川崎記念連覇を達成している。また、世界から強豪馬が集うドバイワールドCに2年連続で遠征し、2着、3着と好走しているとおり、馬齢を重ねてもなお、その安定感は健在。昨年と同じく、ドバイからの帰国初戦で
帝王賞初制覇を狙う。鞍上は
川田将雅騎手。
■7枠7番
クリンチャー(牡8、栗東・
宮本博厩舎)
父ディープスカイ、
母ザフェイツ、母の
父ブライアンズタイムという血統。2017年1月にデビューし、2走目の未勝利戦、同年2月の
すみれS(OP)を連勝し、牡馬クラシック路線を皆勤。三冠最終戦である
菊花賞(GI)では、悪天候の不良馬場で後方から捲り気味に進出し、2着と好走している。翌2018年2月の
京都記念(GII)では、
レイデオロ、
アルアイン、
モズカッチャン、
ディアドラ、
ミッキーロケットなど強豪がひしめく中で重賞初制覇をおさめている。
2020年2月にダート路線へ転向、その後は一貫してダート戦に出走を重ねており、重賞勝ち鞍を「5」まで伸ばしている。
名古屋大賞典(JpnIII)を制しての
帝王賞出走は昨年と同ローテ。古豪念願のタイトル獲得なるか。鞍上をつとめるのは
森泰斗騎手。
■8枠8番
テーオーケインズ(牡5、栗東・
高柳大輔厩舎)
父シニスターミニスター、
母マキシムカフェ、母の
父マンハッタンカフェという血統。2020年11月にOP入りを果たし、昨年3月の
名古屋城SでOP初勝利を飾った。以降は破竹の勢いで
アンタレスS(GIII)を制し重賞初制覇。昨年の
帝王賞では、5番手追走から力強く抜け出し、2着
ノンコノユメに3馬身差をつける快勝でGI級競走初制覇を果たした。
昨年の
チャンピオンズCでは、最終直線で手応え充分に抜け出し、2着
チュウワウィザードに6馬身差をつける圧勝劇。
JRA最優秀ダートホースの座に輝いている。前走、
平安S(GIII)では59kgの斤量を背負いながらも、後続に2.1/2馬身差をつけて勝利を飾った。昨年スターダムに駆け上った同馬が、今度は迎え撃つ立場で連覇に挑む。鞍上は引き続き
松山弘平騎手。
■8枠9番
メイショウハリオ(牡5、栗東・
岡田稲男厩舎)
父パイロ、
母メイショウオウヒ、母の
父マンハッタンカフェという血統。古馬入り後に本格化、昨年5月の
薫風S(3勝クラス)を制しOP入りを果たし、11月の
みやこS(GIII)では道中10番手から進出を開始し、逃げる
アナザートゥルースを捉え、
ロードブレスの追撃をハナ差封じて重賞初制覇を飾った。
今年の始動戦となった3月の
マーチS(GIII)でも同様に馬群後方から進出を開始、完全に先頭へ立った
ケンシンコウをゴール前で並ぶまもなく交わし去り、抜け出してゴール。見事な勝ちっぷりで重賞2勝目を挙げている。堅実な末脚でゴール前の形勢を逆転させる力強い末脚を武器に、満を辞して大舞台に挑む。鞍上は昨年11月からコンビを組んでいる
浜中俊騎手。