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【中京記念】ファルコニアの恩返し 角居元調教師に贈る重賞制覇/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2022年07月20日(水) 18時02分
 ファルコニアについて「トレセン発秘話」で触れるのは昨年のエプソムCウイークに続いて2度目となろうか。もともとは昨年2月いっぱいで解散した角居厩舎の管理馬だったが、「引き継ぐ方に最高の状態でお渡ししたい」という配慮から、解散前に高野厩舎へと転厩した馬だったことをお伝えした。

「厩舎解散前=出馬ラッシュ」の固定概念を覆し、角居厩舎のラストウイークの出走は1頭のみ。ファルコニアに限らず、その管理馬たちをバトンを受ける調教師へ万全の状態で送り出していたのである。

 実際、ファルコニアは高野厩舎での初出走となった昨年3月の春日特別(2勝クラス)を快勝すると、続く4月の難波S(3勝クラス)も連勝。さすが一流と呼ばれる人は先のことまでを見通しているのだと、改めて角居元調教師のすごさを実感したものだ。

 一方、最高の形で引き継がせてもらった高野調教師にとって、ファルコニアは何としても重賞タイトルを取らせてあげたい、いや取らせなくてはならない存在になったのではなかろうか。

 当地は昨年の小倉記念(6着)以来の出走。当時は前半の流れこそ緩かったものの、向正面から一気に流れが速くなって結果的には先行馬には厳しい展開に。好位追走のファルコニアにとっては粘れなかったのもやむなしの競馬だったわけだが、実はレース前日にもっと大変なことに巻き込まれていたのだ。

 その日は大雨。全国各地で水害の被害が出たくらいで、主要な高速道路も通行止めが相次いだ。朝に栗東を出発した馬運車は、その影響で一般道へと切り替えざるを得なくなったのだという。

「岡山県あたりまでは行けると思ったんだけど、兵庫県で(高速道路を)下りてそこからはずっと下道。普段、関門トンネルを馬運車が通ることはないから、ものすごい渋滞が発生して…」(輸送を経験した関係者)

 通常の輸送時間は7時間ほどなのだが、前日朝に競馬場に向かった組は輸送時間が18時間を超えてしまったケースもあったそう。アールスターはこの輸送の影響による熱発で小倉記念の出走を取り消したくらいなのだから、栗東を土曜朝に出発した組がどれだけ負担がかかったかは容易に想像できるだろう。ちなみにレースを制したモズナガレボシは金曜に小倉入り、2着ヒュミドールは現地に滞在していたため、この難を逃れていた。

「昨年の小倉記念は後ろの馬に有利な展開になりましたし、水害もあって輸送時間がかかったのも敗因のひとつだとは思っています。予定のレースを前倒しして使うことになりましたが、この暑さにも負けずに動きの質は良く、期待できるデキ。この馬をよく分かってくれているジョッキー(川田)ですし、何としてもここでタイトルを取らせてあげたいですね」(高野調教師)

 最高の形でバトンを受け取って以来、3勝を挙げてはいるものの、重賞は冒頭のエプソムC、そして前走のマイラーズCの3着が最高着順。角居元調教師への恩返しをファルコニアの重賞制覇で果たしたい高野調教師の思いがかなうのは果たしてこの中京記念(24日=小倉芝1800メートル)か、まだこの先か。一刻も早くその日が来ることを願っている。

(栗東の肩入れ野郎・難波田忠雄)

東京スポーツ

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