本来なら北海道シリーズの2歳戦を締めくくる役割を担うはずのGIII
札幌2歳S(9月3日=札幌芝1800メートル)だが、今年の顔ぶれは実に多彩。登録馬の勝ち上がり開催場は札幌、函館はもちろん、福島、東京、中京、小倉も加わり、計6場にもおよぶ。それだけに力量比較が難解を極める中、記者が注目しているのは
シャンドゥレールVS
ブラストウェーブの“因縁の対決”である。
前者は6月の東京芝1800メートルでデビュー勝ち。一方で後者は同レース除外から2週スライドした函館芝1800メートルで仕切り直しの初陣となりながらも見事に勝利をつかんだ。仮に
ブラストウェーブが東京の新馬戦を除外されていなかったとしたなら…。
シャンドゥレールともども競走成績がどう変わっていたのか、なかなか興味深い。
この中間は2頭とも放牧を挟んで函館競馬場での調整を選択。同地で行われた
シャンドゥレールの追い切りの際、国枝調教師は
ブラストウェーブを見つけると「ずいぶんと見栄えのする馬がいるなと思ったよ。そういえば昔、フジさん(
藤沢和雄元調教師)の
カジノドライヴも(新馬戦を2度)除外になった後、強い競馬をしていたよな」と強力なラ
イバルを歴史的名馬とイメージを重ねて警戒していた。
もっとも、格上古馬を相手にビシバシと併せ馬を消化してきた
シャンドゥレールに対するトレーナーの評価は高まるばかりで「新馬を勝ったことで子供っぽさが抜けてきたし、レースでミルコ(デムーロ)が真っすぐに走らせることに専念して操縦性も良くなった。2戦目でゲートもさらに良くなるだろうな。初戦の勝ちっぷりから持っているものはすごくいいから、ここも楽しみにしているよ」とその進境ぶりに目を細めている。
対する
ブラストウェーブは
ブラストワンピースの全弟として、POGでは早くから注目を集めてきた存在だ。「兄は(デビュー前の2歳夏に)函館でゲート試験に合格した際には15-15すら動けなかった。そういう意味では現時点での完成度は段違いですね。普段の態度も古馬みたいですから」と大竹調教師は偉大な兄を持ち出して高く評価。「一戦一戦、結果が求められる馬。初戦は勝ちに行く理想的な形で競馬ができた。休ませたことで余計な力が入らなくなったように精神的にも成長しています」と良血馬ならではのプレッシャーがある中で成長をしっかりと感じ取っている。
6月の東京新馬戦では実現しなかった2頭の対決。それぞれが違う
ステップを踏んだ末に、
札幌2歳Sで中間の成長をどうアピールするのか、大いに楽しみにしている。
(立川敬太)
東京スポーツ