先週から開幕した中京競馬。新馬戦は4レース組まれていたが、そのうちの勝ち馬3頭が単勝オッズ「1倍台」という圧倒的人気を集めて、それに応える結果を出した。
ちなみに過去2年の秋の中京開催で単勝オッズが1倍台でデビュー勝ちを決めたのは4頭。その中で後にGIで連対するような活躍を見せたのが、3歳時に
スプリンターズSを勝った
ピクシーナイト(栗東・
音無秀孝厩舎)と2歳時に
ホープフルSで2着した
ジャスティンパレス(栗東・
杉山晴紀厩舎)。
デビュー戦から単勝1倍台になるということは、それだけ素質が高いということ。その支持に応えるような馬は、今後の大舞台で活躍する可能性が高いだけに、先週の3頭についても、しっかりと馬名を覚えておきたい。
【9月17日(土) 中京芝1200m】
◆
トレンディスター(牝、父
ファインニードル、
母ハンドスター、栗東・
高柳大輔厩舎)
2021年北海道サマーセールにて、800万円で落札された
ファインニードル産駒。きょうだいは芝、ダート問わず、短い距離で勝ち星を挙げている。入厩当初の本馬に対しては「セリの時から馬っぷりが良かったですし、父がス
プリントGIを勝っていることを考えても、短い距離がいいでしょうね」と
高柳大輔調教師。
6月の新馬戦でのデビューに向けて調整が進められていたが、疲れが出たこともあり、一度休養へ。「休ませたことで、馬体重が30キロ近く増えました。パワーアップしましたね」と同師。8月31日の坂路では4F54.0秒と全体時計は目立たなかったが、2Fは24.5秒。脚力あるところを見せている。
デビュー戦の本線はこのレースだが、9月18日(日)中山芝1200mでのデビューも検討はされている。
【9月18日(日) 中京ダート1400m】
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ミルトハンター(牡、
父ヘニーヒューズ、
母イナズマアマリリス、栗東・
中竹和也厩舎)
母は現役時代に
ファンタジーSで重賞制覇。
ブエナビスタが勝った2008年阪神JFでは5着と掲示板に載っている。本馬は2021年北海道サマーセールにて、1200万円で落札されている。
8月18日にゲート試験を合格した後、栗東に在厩して調整。坂路での追い切りを積み重ねているが、週中の追い切りでは4F54秒から55秒台という時計なので、数字自体は目立たない。ただ、追い切りを重ねるごとに動き自体は素軽くなっており、先週の坂路では新馬を追走して楽に追いついた。父産駒が得意とするダート、母が重賞を勝ったこの距離ならベストパフォーマンスを期待することができそう。
【9月18日(日) 中京芝2000m】
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ラミアストラーダ(牡、父
エピファネイア、
母タカミツサクラ、栗東・
田中克典厩舎)
2022年
JRAブリーズアップセールにて、3100万円で落札された
エピファネイア産駒。母は現役時代に函館芝1200mの未勝利戦を勝っているが、その時に騎乗していた
坂井瑠星騎手が当時の縁で今回のレースで騎乗する予定となっている。
8月31日のCWでは
北村友一騎手が跨って、新馬を追いかけて、古馬2勝クラスに先行するという3頭併せ。ここでラスト1Fを馬なりの12.1秒でまとめて「ジョッキーも動きを褒めてくれていました」と
田中克典調教師。9月7日のCWでは坂井騎手が跨って、古馬2勝クラスを追走して同入。週末には坂路で時計を出すなど、順調に追い切りを進めることができている。
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アルナージェイン(牝、父
リアルスティール、
母ルナレガーロ、栗東・
奥村豊厩舎)
母系には2015年に
皐月賞、
日本ダービーを制して牡馬二冠の
ドゥラメンテ(
父キングカメハメハ)。父としては、今秋に
凱旋門賞へ挑戦する
タイトルホルダーを送り出している。本馬は2020年セレクトセール当歳にて、1900万円で落札されている。
9月7日はCWでの3頭併せ。前半が遅かったとはいえ、古馬1勝クラスと古馬OPの
ロードブレスを追走して、2頭を内から追い抜くという見た目に派手な動き。
奥村豊調教師は「まだ体力不足なところはあるけど、追い切りに騎乗した
C.ルメール騎手(レースでも騎乗予定)は反応が良いと褒めてくれました。やっぱり素質はありますね」と現状での課題を挙げつつ、将来性に期待しているといったコメント。今週の最終追い切りも含め、どんなレースを見せてくれるか楽しみな存在ではある。
(取材・文:井内利彰)