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【凱旋門賞】「世界の矢作」ステイフーリッシュで初挑戦Vへ 11歳で憧れた一戦「今は現実的な目標」

スポーツ報知
  • 2022年09月28日(水) 07時00分
◆第101回凱旋門賞・仏G1(10月2日、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)

 JRA海外馬券発売対象の第101回凱旋門賞・G1(10月2日)に、栗東・矢作芳人調教師(61)はステイフーリッシュで初挑戦。世界の5つの国と地域で重賞タイトルを手にする“世界の矢作”は、歴史的勝利への意欲を示した。

 半世紀も紡いできた思いがようやく動き出す。矢作調教師が初めて凱旋門賞に触れたのは日本のメジロムサシが出走した1972年。まだ11歳だった。「映像も何もないラジオ実況。それだけに余計にひかれたんだね。当時は夢というのもおこがましい憧れでした」

 あれから50年。2004年の調教師試験合格時に「凱旋門賞を勝つことが夢」と変わらぬ情熱を口にすると、開業後は海外G1を次々と制覇し、今や「世界のYAHAGI」と呼ばれるようになった。そんなトレーナーが“原点”とも言える一戦に初めて送り出すのがステイフーリッシュだ。

海外でも活躍 世界への挑戦が飛躍のきっかけとなった。5着だった昨年末の香港ヴァーズで騎乗したホーが「スタミナがあって、バテないが、ワンペースだ」と指摘。そこで翌春に先行しやすい海外の長丁場へ矛先を向け、サウジアラビア遠征を馬主の吉田照哉代表に直訴した。思惑通りの走りでサウジに続き、ドバイで重賞連覇。「長い距離をもっと早く使っておけば、と思う。ホーには本当に感謝しています」と振り返る。

 壁は非常に高い。「(過去100回で)欧州調教馬以外が勝っていないというところ。そこが一番です」。昨秋に日本馬初勝利で新たな歴史を刻んだブリーダーズCの時と同じように、逆境でこそ燃える矢作師らしいモチベーションを口にしつつ、冷静な分析も忘れない。「向こうの競馬は引っ張り合い。付き合う必要はないし、その点では前に行く馬だと思う」。それは自然とステイフーリッシュにも重なる。

 米国、中東、豪州、香港でG1を制し、「最終目標」と掲げているのがヨーロッパ。その最高峰に子供の頃から見つめ続けたレースがある。「(定年まで)もう10年を切ったので、そろそろ取りに行かないといけない。今は現実的な目標になっています」。憧れから夢、そして目標へ―。進化を遂げた強い思いが、重い歴史の扉をこじ開ける。(山本 武志)

スポーツ報知

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