中山の最終週に芝の10ハロン戦として行われるようになって今年で8回目を迎える
芙蓉S(10月1日=芝内2000メートル)。暮れのGI
ホープフルSと同舞台で、昨年の
ラーグルフ(1→3着)、19年
オーソリティ(1→5着)など相応の結果で存在感を高めつつある。
ここにデビュー2戦目でエントリーしてきたのが
オンザブロッサム(牝・大和田)。牝馬ながら早々に中〜長距離路線へと照準を絞ってきたが、この馬を表現するのにもっともふさわしいのはやはり、初戦(6月の東京芝1800メートル)で“
ダノンザタイガーを破った”であろう。当時単勝オッズ1.4倍の圧倒的支持を集めたミリオンホース(20年セレクトセール=当歳=で2億7000万円)を見事撃破。鞍上は2キロの減量騎手(永野)だったり、展開(前半5ハロン63秒3のスローの2番手)など恵まれた側面はあったかもしれないが、次走で2着に2馬身差の完勝を収める素質馬に勝ち切った事実はしっかり評価されていいはずだ。
「調教内容からは“5着があればいいかな”くらいの感じだったので(勝ったのは)いい意味で誤算でした」。そう言って笑った大和田調教師。もっとも「前走を見る限りレースセンスは本当にいいものがありましたし、どさくさに紛れて勝った内容では決してなかったですね。しっかり走ってしっかり伸びて勝った。秘めた素質があったんだと改めて感じています」と冷静に評価を続けた。
大和田厩舎の現2歳勢は
ハーエクセレンシー(新潟芝7ハロン新馬V)や
グラニット(未勝利V→GIII
新潟2歳S6着)、同馬主の
オンザスカイ(新潟芝6ハロン新馬戦で3着)など粒揃いだが、それらと比べても「パッとしなかった」(同師)という。それでもフタを開けてみれば文句なしの快勝に評価はガラリと一変したわけだ。
一方でまだキャリア1戦の若駒。放牧を挟んでの帰厩後は少し疲れも出ているため、正式な出否は慎重に検討されるという。新コンビを組む田辺が騎乗した22日の1週前追い切りは当日朝になってウッドコースから坂路追いに変更したというが、その動きは同厩
サトノムスタング(古馬2勝クラス)に2馬身先着する素晴らしいもの。これも陣営の慎重さがあってゆえなのかもしれない。
「新馬戦で負かした相手(
ダノンザタイガー)がクラシック候補と言われていることはもちろん知っています。向こうは牡馬ですし、
オークスとは言わずダービーの舞台で対決したい、そのくらいの期待をもっています」と抱負を語った大和田師。果たしてその言葉が現実となるか、今週末のみならず来春までしっかり見届けたい。
(立川敬太)
東京スポーツ