「なかなか体が減らないんですよ。こんなんでレースでちゃんと走ってくれるのかどうか…分かりませんねえ」
今年初戦の
シルクロードSを皮切りに、いつもいつも疑心暗鬼なつぶやきを発していた永楽助手(だから馬券野郎は◎を打てなかったのだ!)。確かに当時、昨年末に久々のVとした
タンザナイトSより12キロも増えていた。
それでも
メイケイエール→
シャインガーネットに続く3着に健闘。続く
オーシャンS(2着)ではさらに4キロ増えていたが、肝心要の
高松宮記念では12キロ減。丸田のイチかバチかのイン突きがハマったとはいえ、太めでも好走し続けた地力の高さ、そして本番ではいつの間にか? ギュッと絞れた究極仕上げがGI馬へと押し上げたのだろう。
もっとも、一気呵成で向かった
安田記念では再び4キロ増。「最後の最後に伸び脚が止まってしまったように、単に距離が長かっただけ。見どころある内容だったと思います」(同助手)と陣営に負けたショックはそれほどなかったようだが、改めて太りやすい体質を露呈したのは否めない。
しかも今回、放牧先から帰ってきた当初もやはり太く、1週前追い切り時に聞いたときは「510キロ以上はある感じなんですよね。デキだとか右回りとかではなく、馬体重が最大の懸念材料かも」と泣いていた。
ところが、金曜(23日)朝の計量では502キロと、陣営も驚きの大幅減! GI前(第56回
スプリンターズS=10月2日、中山芝外1200メートル)だからといってカイバの量は減らしていないのだが、これはどう考えても馬自身が意識的にシェイプアップし始めたとしか言いようがない。
その昔、「新聞の読める馬」がいたが、
ナランフレグもそれに近いものがあるようだ。そんなことがひそやかに? 判明しつつあるからこそ、慎重発言が定番の永楽助手もここぞとばかりに強気節を奏でるのである。
「この中間、久しぶりにまたがってみたんですが、以前とはまるで違いましたね。ゴトゴトしていてまるでダート馬のような歩様をしていたのに、打って変わって滑らかなものに。いつの間にかGIを取るだけの素晴らしい馬になっていたんですね。うるさい面を見せなかったように気性も大人になっていました」と心身ともに充実モードに突入したようだ。
しまいには「
高松宮記念よりも上」とのダメ押しコメントもちょうだいしたからには本命を打ちたくなるのが人の子というものだが、今までスルーしていたのにいきなり本命を打ったらドボンしそうだし、打たなかったら再び勝たれてしまいそうだし…なかなか答えが出ない迷える馬券野郎である。
(美浦の逡巡野郎・虎石晃)
東京スポーツ